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台湾古来のスパイスでやみつきの味 東京・江戸川橋

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NIKKEI STYLE

一見、何の変哲もないように見える一皿の水ギョーザ。ところが、これがひときわユニークな一品なのだ。この料理を出すのは東京・江戸川橋の「FUJI COMMUNICATION(フジ コミュニケーション)」。今年3月末にオープンした台湾料理と自然派ワインを看板に掲げる店だ。

優しい味わいの水ギョーザには、黒コショウのようなスパイスがかかる。実はこれが料理の味の決め手で、「馬告(マーガオ)と呼ばれる台湾でも珍しいスパイス。台湾のヘソと呼ばれる中部の埔里(プーリー)以北の山地に住む先住民族、タイヤル族の料理に使われる。

コショウのような刺激があるが、同時にレモングラスに似た爽やかなかんきつを思わせる香りが立ち上る。香りが引き立つよう、歯切れよく仕上げた自家製の皮でさっぱりとした豚肉とハクサイのあんを包んだ水ギョーザは、食べ飽きることがない。じゅんわり肉汁が口に広がると同時に爽やかな香りが漂うので、肉を食べたという重さが感じられないからだ。

「最初は皮やあんに入れてみたんですが、苦味が出ておいしいギョーザができなかった。中に入れるより料理にふりかけた方が水ギョーザの湯気と共に立ち上るため、マーガオの香りがよく出るんです。初めてギョーザと合わせたとき、『全然違う料理になるんだ』と驚きました。香りが強烈なので、すっきりした味になるんです」。こう話すのは、同店の共同経営者である齋藤翼さんだ。

飲食関係の仕事をしていた高校時代の同級生、齋藤さんと近藤喬哉さんが、共同経営による店を出そうと考えたのが今年の初め。「最初から台湾料理の店を出そうと思ったわけでなく、店舗が決まってから何を売りにするかを考えた」(近藤さん)と言う。オフィスワーカーの多い江戸川橋で契約した店は、厨房設備に制限がある物件だった。だから、その設備で作れる料理で何が今一番客に喜んでもらえるかと考え、水ギョーザを看板料理にしようと決めた。開店のたった1カ月ほど前のことだ。

水ギョーザと言えば中国北部が有名だが、狙いを定めたのは、人気の海外渡航先である台湾。飲み物は自然派ワインに力を入れようと決めていたから、優しい味の台湾料理は売ってつけだった。物件の契約とほぼ同時に台湾に渡り、現地の味を学ぶため20軒ほどの店を食べ歩いたという。ただし、台湾の店で修業したり、有名店の味をマネしたりしようとは考えなかった。あくまでも自分たちの料理で勝負しようと思ったからだ。

ギョーザだけでなく、広い視野で得られるものはどんどん吸収して来よう――そんな腹づもりで飛んだ台湾だったが、事前にある聞きなれない食材を台湾通の知人が教えてくれた。それが、マーガオだった。「一度食べたり、匂いを嗅いだりするととりこになるスパイスだよ」

早速、台湾で売っている店を探し、乾燥マーガオを手に入れた。その香りと味は衝撃的で「お店に来た人が絶対忘れられない料理ができると思った」(近藤さん)と、自分たちの店の一つの柱にすることに決めた。「FUJI COMMUNICATION」には「マーガオ餃子」以外にもエビやハクサイとニラなど3種の水ギョーザがあるが、一番人気はやはりマーガオだという。

「現地には冷凍マーガオもあったんです」と齋藤さんが写真を見せてくれた。黒っぽい色合いの乾燥ものとは異なり、緑色を帯びている。

生マーガオを冷凍したもので、かむとジュッと液があふれ出し、すがすがしいほどにフレッシュな香りが立ち上るという。乾燥ものよりさらに見つけるのが難しいというスパイスだが、2人が冷凍マーガオを見つけた経緯は今の時代ならでは。インスタグラムで「馬告」をハッシュタグ検索したところ、ちょうどこれを売る台北の店が投稿したばかりのスパイスの写真を発見したのだ。コンセプトが決まってから1カ月で開店という目まぐるしいスケジュールで、今はまだ手をつけられていないが、そのうちこのスパイスを利用した料理も考えたいと意気込む。

「FUJI COMMUNICATION」では、水ギョーザ以外にもマーガオを使った料理を出す。いずれもスパイスが最大限に生きるよう考えたメニューだ。

ランチメニューに付く「マーガオ鶏スープ」は、鶏とハクサイ、ネギ、セロリといった野菜だけを6、7時間煮込んだスープ。鶏のスープは冷凍マーガオを見つけた店で、よく知られたマーガオ料理として教えてもらったメニューだという。透明感のある味わいのスープにマーガオをふりかけると、香りとピリリとした刺激がぐっと引き立つ。「このスパイスと出合ってからまだ日が浅いので、メニューの開発に本腰が入れられるのは実はこれから」と2人は言う。

取材時には、マーガオ料理としてよく知られている、これを使ったソーセージの開発に取り組んでいた。パンチのある肉の味わいはかえって香りの邪魔になる。だから、「肉は粗びきではなく細びきでいいんじゃないかと思っています」と齋藤さん。シンプルであること――それがマーガオを生かす料理の秘けつと考えているのだ。

オープン1カ月半で早3、4回訪れたリピーターもいるという店の客は7割が女性。マーガオ料理狙いで来店した客もいるそうだ。2人は、マーガオ生産者の元に収穫体験にも行く予定だという。真っ白だったマーガオの「レシピブック」に、これからどんな料理が加わっていくのか、楽しみで仕方ない。

(フリーライター メレンダ千春)

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