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2階のビジネス書売り場に加えて1階入り口のメインの平台にも展示する(八重洲ブックセンター本店)

2階のビジネス書売り場に加えて1階入り口のメインの平台にも展示する(八重洲ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。大型連休明けも『FACTFULNESS』はじめ、息の長い売れ筋が店頭の販売を引っ張っているが、新刊の力不足が気になり始めたと書店員は話す。そんな中、注目する新刊は、破格の安価に定価設定したことが大きな話題になっている起業家の実験精神あふれる一冊だった。

価格は読者が決める

その本は光本勇介『実験思考 世の中、すべては実験』(幻冬舎)。価格は本体価格で390円だ。標準的なソフトカバーの単行本で、通常なら1500円程度に定価設定されるという。これを印刷に必要な原価で書店に並べ、本来の本の値段は読者が決めて本の最後にあるQRコードから飛べるサイト経由で支払うという仕組みだ。電子書籍ならゼロ円で手に入る。

飛んだ先をのぞいてみよう。「『実験思考』の価格をご自由にお決めください!」とあり、0円、100円、500円、1000円と4つの価格が表示され、0円には「感想を送る」、他の3つには「この価格にする」のボタンがあって、押すとクレジットカード決済の入力画面に飛ぶ。4つの価格の下にいくと、1500円と表示され、「通常の本の価格となります。価値を感じていただきありがとうございます!」と書かれている。ここでも「この価格にする」を選べばクレジット決済に飛べる。

1500円の先もある。3000円から1千万円まで10段階の価格が表示され、それぞれに様々な特典がつく。1千万円の特典は光本氏と一緒に半分の500万円を資本金に会社を設立し、アイデアがなければ光本氏が提供するというものだ。ここまで行くと、本の対価なのかどうかさえ判然としない。実験開始から2週間足らず、当該サイトによれば5月22日午後1時の時点で支払いは1400人、5800万円を超えた。通常の1500円で販売したと考えれば5万部超売れた勘定になる。1400人しか払っていないことに驚くべきか、入金者1人当たり4万円超が支払われたことに注目すべきか、興味深い実験なのは間違いない。

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