仕事はできるのに「困った社員」 パターン別の対策こちら「メンタル産業医」相談室(33)

日経Gooday

またイライラしたらつい嫌みや皮肉を言ってしまうという人は、コーチング(部下などの自発的行動を促す指導法)やアサーティブネス(自他を尊重した自己表現のこと)などのコミュニケーション法を学んでみると、他者への言葉の影響が理解できるとともに適切な表現方法が学べると思います。

【ケース2】会社に対する批判を声高に繰り返す

仕事ができる社員の中には、頭が鋭く回転する人が多くいます。そのせいか会社の制度の欠陥や、作業手順や人事制度の不合理性にも敏感に気づくことが少なくないようです。そのため、中には声高にそのことを社内で指摘する人がいます。しかるべき会議で改善ポイントとしてオフィシャルに提案したり、自分の上司や役員に改善を適切に要望したりするのであれば問題ないのですが、同僚や後輩相手に会社の批判をガンガン繰り返し、不満をぶちまける社員が時々います。会社側としては、これが非常に困るわけです。

仕事ができると一目置かれている社員は、社内でもカリスマ性や影響力を持つ場合が多いため、その社員が若手社員に会社の批判を繰り返すと若手社員もそれに同調し、会社に不満を持つようになってしまいます。そうなると会社へのロイヤリティーが低下し、仕事の質が下がる原因になりかねません。最悪の場合は離職にもつながってしまいます。

会社への批判を繰り返す人に、内心うんざりしている同僚もいるかもしれない。写真はイメージ=(c)Aleksandr Davydov-123RF

仮に若手社員がそれに同調しなかったとしても、先輩社員からしょっちゅう会社の批判や悪口を聞かされるのはストレスがたまります。「先輩で職位も上の人なので、会社に対する愚痴や批判でも一応ちゃんと聞かなきゃいけない。でも安易に同意して自分も同じ意見だと会社に思われたら困るので、すごく対応に気を使って疲れ果てました」と、軽いメンタル不調になりかけていた社員に出会ったことがあります。

こうした不満社員を上司に持つ人の場合、「愚痴や批判ばかり聞かされるのはつらいので、直属の部下から外してほしい」と異動希望を出すこともあります。

仕事ができ利益も上げている社員に対しては会社側もなかなか面と向かって注意や指導がしにくいようですが、あまりにも社内の士気を下げたり後輩社員に悪影響を与えたりするようだと、評価が相殺されマイナスになることもあるので要注意です。

本連載をお読みの方はきっと意識の高い仕事熱心な方が多いと思われますが、もし会社の仕組みや制度に不満や欠陥を感じているとしたら、安易に後輩や同僚に愚痴るのではなく、建設的な改善プランとして会社や上司に前向きに提案されることをお勧めします。

同僚や後輩社員相手に批判や愚痴を繰り返すと、まわりまわって会社の経営陣に伝わり、「反体制派」「危険人物」とレッテルを貼られることになりかねません。そうなると、せっかくの仕事での頑張りや努力が台無しになります。ストレスがたまって愚痴りたいときは、会社と関係のない人を相手に毒出しするように心がけましょう。

以上、仕事ができるのに会社や人事が困る社員のパターンを2つに分けてご紹介しました。次回記事ではさらに2つのパターンをご紹介したいと思います。お楽しみに。

奥田弘美
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内20カ所の産業医として働く人を心と身体の両面からサポートしている。著書には『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想(めいそう)の普及も行っている。

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