大型研究が増加 産学連携はイノベーション起こせるか

18年に発足した東京大学アントレプレナーラボ(東京都文京区)
18年に発足した東京大学アントレプレナーラボ(東京都文京区)

民間企業と大学が協力して技術開発や研究に取り組む「産学連携」の規模が膨らんでいます。企業側には、外部の知恵を取り込みながらイノベーションを起こす狙いがあり、連携する分野も広がっています。

文部科学省は、全国の国公私立大学と民間企業との共同研究、受託研究といった産学連携の現状を調べています。2017年度の民間企業からの研究資金の受け入れ額は約960億円と前年度に比べ13.3%増えました。伸びが大きいのは受け入れ額の6割以上を占める共同研究で、同15.7%増の約608億円でした。1件当たり1000万円以上の「大型の共同研究」が同24.3%増え、全体をけん引しています。

政府は、25年度までに企業から大学への投資額を14年度に比べ3倍に増やす目標を打ち出しています。研究資金の受け入れ額に限ってみると、現在の伸びを維持できれば、目標を達成できる見通しです。

文科省の担当者は「大学は公共財であり、研究の成果を社会に役立てようとするなら産業界と協力したほうがよい」と言います。政府は18年、産学連携を促す目的で、民間企業から大型の研究資金を呼び込んで研究開発プロジェクトのマネジメントを担う「オープンイノベーション機構」を全国8つの大学に設けました。今後、同様の組織を増やす方針です。

民間企業からの共同研究費の受け入れ額が最も大きいのは東京大学です。総長直轄の「産学協創推進本部」が窓口となり、民間との協力案件を増やしています。同本部の福田敦史副本部長は「大学教員が個々に民間企業と協力する案件は規模が小さくなりがち。企業と大学が組織同士で協力すれば、対象が大きく広がる」とみています。

18年12月には、空調大手のダイキン工業と協定を結びました。同社は10年間で約100億円の資金を拠出する計画で、日本企業と大学との協力としては空前の規模です。人材の交流を深めながら個別案件の共同研究、未来社会のビジョン作りの2つのテーマで継続して成果を出したいと考えています。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧