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ドーハの悲劇で「毎日が焼き肉」封印 武田修宏さん

食の履歴書

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NIKKEI STYLE

甘いマスクと隙を逃さぬシュートで知られた、元サッカー日本代表の武田修宏さん(52)。現役時代の最も印象深い食事は、若いころ毎日のように食べた焼き肉という。だがドーハの悲劇でワールドカップ(W杯)出場を逃してからは、封印して肉体改造に取り組んだ。

昼はしゃぶしゃぶ、夜は焼き肉

「こんなうまい肉があったのか」。10代で上京し、読売サッカークラブ(東京ヴェルディの前身)に入団した直後、先輩に連れていかれた焼肉店で目を丸くした。ロース、カルビ、タン塩……。「センマイって知ってるか」。牛の胃袋にいろいろな種類があることも教えてもらった。

「実家は決して裕福じゃなかった。食べ放題の焼き肉なら行ったことあったんだけどね」。父親が抱えた借金で、家計は綱渡り。サッカーの練習を終えて帰宅しても、共働きの両親はいない。暗い部屋でご飯にしょうゆをかけて食べ、空腹をしのいだ。

読売クラブでは、新人王とMVPのダブル受賞で華々しくデビュー。1991年にJリーグが設立されると、ピーク時の年俸は1億円(推定)を超えた。「昼はしゃぶしゃぶ、夜は焼き肉を毎日のように繰り返していましたね。肉、肉、肉、肉です」

旺盛な食欲はハードなトレーニングの源であり結果でもあった。「サッカーで走り回ると1日で3、4キログラムは痩せるんです。とにかく体力になるものを欲していました」

抜群のルックスでテレビや雑誌からも引っ張りだこ。サッカー選手として勢いに乗っていたとき、厚い壁に突き当たる。93年10月28日、米国W杯のアジア最終予選のイラク戦。「ドーハの悲劇」として知られる試合だ。

試合前におにぎりとうどん

このとき日本代表チームには初めてシェフが帯同していた。現地のホテルで出来合いのものを食べるしかなかった従来より、はるかに恵まれていた。「日本食だ! これで勝てるぞ」。試合前に選んだのは、おにぎりとうどん。準備万全で臨んだはずだった。

だが結果は残酷だった。午後6時すぎに試合が終わり、バスでホテルに引き返した。「みな下を向いて、無言でした。ぼうぜんとして。その日の夜も、何か食べたと思うんだけど。数日はまったく覚えていないんだよね」

小学生のころからの夢だったW杯出場は目前でついえた。追い打ちをかけるように、戦犯捜しではいつもやり玉にあげられた。

試合の終了間際、このまま逃げ切れば勝てるという場面に交代で出場。もう1点とろうと攻め上がった結果、ボールを奪われた。なぜキープしようとしなかったのか。そう問われるたび「終わったことを言っても仕方ない。結果で絶対に返す」と誓った。

帰国後もJリーグで活躍したが、28歳のころから体力の低下を感じるようになり、食生活を変えた。「魚を増やしたり、鶏肉を食べたり。サラダも多くとるようにしました」。疲労回復に効くゼリーや果物ジュースも取り入れた。「肉食いてえとは思いましたよ。でも体のためだから」

だが94年を最後に、日本代表から声がかからない。「何で俺を呼ばないんだという気持ちはありましたね」。W杯出場の夢がどんどん遠くなっていくのを感じた。

南米選手のハングリーさに驚き

Jリーグでも出場機会が減っていた2000年、南米パラグアイのチームに誘われた。「カズさん(三浦知良さん)はブラジルで腕を磨いた。俺だって……」。そこで目にしたのは、現地の選手のすさまじいハングリーさだった。

食事は小石くらいの大きさの鶏肉と薄いスープ、そして硬いパンだけ。「それでも生きるため、家族を養うためにグラウンドで結果を出さないといけない。プロとはこういうものかって思いました。日本みたいに、好きだ嫌いだとか言っている場合じゃない」

パラグアイでは満足な結果を残せないまま帰国。古巣の東京ヴェルディで1年だけプレーした後、ユニホームを脱いだ。34歳だった。「もう日本代表に呼ばれることはない。夢だったW杯を諦めるなら選手は続けられない」

現役を退いてからは、好きなものを好きなだけ食べられるようになった。「でも、もう肉はいいかな。月に何回か食べると、消化しきれずに胃もたれするんだよね。最近は食べ過ぎないよう、夕食もおかずだけにしています」

次の夢はコーチ、監督としてグラウンドに戻ること。いつオファーが来ても応じられるように体調を整える。解説の仕事のかたわら、プライベートでもサッカーの現場に足を運んでいる。

ブラジルの味、そのままに

六本木ヒルズ(東京・港)の5階に店を構えるブラジル料理店「バルバッコア」(電話03・5413・3663)。武田さんのお気に入りはランチバイキング(税抜き3600円~)のなかの一品、フェイジョンだ。

インゲン豆の一種のカリオカ豆にニンニクを加え、塩こしょうで味つけをしたうえで2~3時間煮込む。シェフのダヨ・デオナンダンさんによると、「ブラジル人が毎日食べる、日本でいえばお味噌汁のような国民食」なのだという。

武田さんは読売サッカークラブに在籍していた20歳代のころ、チームでブラジル遠征に行っているうちに好きになった。白いご飯にかけて、山盛りのサラダと一緒に食べるのが流儀だ。「当時食べた現地の味がそのまま味わえるんだよ」と足しげく通っている。

最後の晩餐

なめこと豆腐が入った赤だしの味噌汁、それと白ご飯で決まりだね。味噌は濃いものがいい。子どものころ、看護師をしていた母が夜勤の日に作ってくれて、チンして食べた。「お袋の味」だな。ちょっと行儀が悪いけれど、白ご飯にかけてかき込むのが最高なんだ。

(宇都宮想)

[NIKKEIプラス1 2019年5月25日付]

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