灘→ハーバードの「天才児」 被災地で知るアートの力アマトリウム社長 丹原健翔さん

被災者への支援を行う一般社団法人で働き、ワークショップを通じて心のケアにあたった。そこで丹原さんはある傾向に気付く。ワークショップの参加者は女性が圧倒的に多かったのだ。東北の男性は、特に漁師町などでは忍耐が徳とされるため、ワークショップのようなものに参加して自分の気持ちを素直に表現することに抵抗感を示したという。

そこで丹原さんは、被災者約150人に対する2時間ほどのライフストーリーインタビューを約2年間かけて実施した。過去、現在、未来の人生をじっくり語ってもらった内容を編集し、映像アート作品に仕立てた。「はじめて過去の体験を言葉にすることができた」「よくわからないけど、話した夜、初めて睡眠薬を服用せずに眠れた」。アート作品作りに参加者した人々から様々な感動の声を聞き、丹原さん自身も心を揺さぶられた。

「アートという表現方法の力を感じた」と丹原さん。「論理を超えて人の心を動かせるものがあることを知った。すごく魅力というか、チャレンジングな可能性を感じたんです」。ハーバードに戻った丹原さんは美術史の勉強を始めると同時に、自ら実践者としてアーティストとしても活動を始めた。

アートを作る側から支援する側に回る

丹原さんのアート表現

尿を売るカフェ、風呂の湯を飲む会。彼が手掛けたのは物理的な作品ではなく、空間や状況を作る「パフォーマンスアート」と呼ばれる分野だ。テーマだけを聞くとぎょっとするが、「人間関係を証明する儀式」に興味を持ったのだという。

「知り合いのAさんとBさんの『どっちが好きか』と直接的に聞くと答えるのは難しいでしょう。しかし、AさんとBさんがそれぞれ入ったお風呂のお湯があって、どちらか飲まないといけないとしたら、おそらく答えは出せるんですよ。踏み絵というか、儀式を通すことで、普段はふわっとしている人間関係とかが見えてくるっていうのって面白いなと思って」

そんな奇想天外な作品が認められ、このまま卒業後はアーティストとして活動しても食べていけるかもしれないというぐらいには収入を得られるようになっていた。そのときふと東北で出会ったアーティストや美大生のことを思い出す。

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