名作アニメ次々、タツノコプロの半世紀 笹川監督語る

「ハクション大魔王」 アニメの枠を飛び出しYouTuber

笹川は演出家として「マッハGoGoGo」を世に送り出した後も、リアル路線のアクション作品だけでなく、「ハクション大魔王」や超人気ロングランシリーズとなった「タイムボカンシリーズ」などのギャグ作品を数多く世に送り出し、テレビの前の視聴者を夢中にさせた。

1969年に放送が始まった「ハクション大魔王」はタツノコプロを代表するギャグ作品に(C)タツノコプロ

「演出家ですから、シリアスもギャグもどちらもできるんですよ。ただ、ギャグ作品は自分のアイデアを入れてみたり、そこにもう一つ面白いお笑いやギャグを入れたりと楽しさはありますね。シナリオライターさんにはちょっと文句を言われていたんですけど。『新造人間キャシャーン』みたいなシリアスな作品はシナリオができていればどう表現させるかですから。強そうに見せたり、ハラハラさせたり、これは映画の手法になってきますけど、それはそれで楽しいですね。どっちも楽しかった」

タツノコプロの初期から演出家として黄金期を支えてきたアニメーション監督の笹川ひろし

吉田竜夫、九里一平らによってデザインされた多彩で魅力あふれるキャラクターたちもタツノコアニメの魅力の一つ。1969年に放送が始まった「ハクション大魔王」のハクション大魔王とアクビちゃんに至っては、2018年にアニメの枠を飛び出し、YouTuberデビュー。アニメ版を見たことがない世代にも人気を博している。

「ハクション大魔王やアクビちゃんのキャラクター設定も吉田さんが描いていましたよ。吉田さんの作風はリアル系だから、最初はプロレスラーみたいなヒゲを生やした怖いハクション大魔王だったんですよ。それでパイロット版を作ったら、代理店から『あまりにもリアルで子供が怖がる』とクレームがついてね。せっかく作ったパイロット版は全て廃棄して、また一から新しいキャラクターを吉田さんが書き直しました。『ハクション大魔王』について、僕も一応は注文をしたんですよ。『怖い魔王でも、実は間抜けなんです』とオーダーしたんだけど、なぜかリアル系の魔王ができてしまった。さすがに私もクレームがつく前に『これ違うんだけどなぁ……』と思ってました。それで、一から直してハクション大魔王が可愛くなって、周りのカンちゃんとかブル公とかも可愛くなって、いい世界観ができたので本当に良かった」

タイムボカンシリーズ ヒットの秘訣はメカ会議

1975年の放送開始から、やがて大人気ロングラン・シリーズとなり、タツノコプロの名を不動のものにしたのが「タイムボカンシリーズ」だ。今でこそ、アニメ界に伝説のシリーズとして語り継がれているが、その第1弾となる「タイムボカン」には紆余曲折の産みの苦しみが存在していた。

1975年に放送を開始したギャグSFアクション「タイムボカン」は、ロングラン・シリーズとなった(C)タツノコプロ

「『タイムボカン』も3分ぐらいのパイロットフィルムを作って試写でスポンサーに見てもらったんだけど、気がついたらスポンサーの人たちは、試写室から消えていて誰もいなかったんだよね。パイロットフィルムを作ってから3年か4年ぐらい寝かせていたんですけど、営業していた人がそれを引っ張り出してきて、もう1回見てもらったんですね。そうしたら運良く玩具メーカーの方に認められてスタートできたんです。企画を立てる時、今ではいろんなところにお伺いをたてないと決まらないけど、僕たちは自由に考えて、とにかく面白くなればみたいな、おおらかな気分でやってましたからね」

エンタメ!連載記事一覧
注目記事
エンタメ!連載記事一覧