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プロのための超高級ステンレス包丁

河村刃物「重陽 銀」三徳包丁(刃渡り約18cm、飯田屋店頭価格は税別5万3000円)

職人の街として知られる堺市。その中で、プロ用の包丁を手がけている老舗が河村刃物(1926年創業)です。河村刃物といえば、「堺菊守(さかいきくもり)」ブランドが有名ですが、その職人たちが、さらに最高品質のプロ用包丁を作りたいと立ち上げたのが「重陽」です。

重陽は、火造りから研ぎまでを熟練の職人が手作業で行った包丁。包丁は、素材の硬度が高いほど高級品とされていますが、重陽は、ステンレス素材の中でも硬い最高級の安来鋼銀紙参号(やすきはがねぎんがみさんごう)を使用しています。一般的に、硬度が高い包丁は切れ味がいいのですが、欠けやすい、粘りが少なくて、研ぎにくいという弱点があります。しかし、この包丁は、硬度が高いのにきちんと粘りもあって刃持ちが良く、研ぎやすさも兼ね備えているのがすごい。

そして、細かいところまでこだわりすぎているのも、重陽の特徴。まず柄の部分。衛生面やメンテナンスのしやすさから、樹脂素材の柄が増えているのですが、重陽は、まな板などにもよく使われるホオノキを使用。菜切りや魚用などの和包丁に木製の柄が使われることは良くあるのですが、三徳包丁に使われるのは珍しいんです。また、柄はプロに評判がいい八角形。持ちやすいのがいいですね。

もう一つのこだわりは刃。刃には3つのポイントがあります。1つめは、顔が映りこむほどの鏡面仕上げにしているところ。手間ひまがかかりますが、鏡面にすることで、汚れがつきにくく、さびにくくなり、洗いやすくなります。これは、特に魚をさばく和食の職人が使う包丁に用いられる方法。鏡面にすることで、生魚の汚れなどが洗い落としやすくなるんです。和食店の格を判断するのに、職人が鏡面仕上げの包丁を使っているかどうかが基準のひとつになるほどです。

2つめは、刃の反対側、背にあたる部分で「ミネ」と呼ばれるところ。指で押さえる部分ですが、長く使っていると指が痛くなります。その点を考慮して、丁寧に面取り加工がされています。

3つめは、「アゴ」と呼ばれる部分の加工。アゴは、刃の一番下、柄寄りの角になっている部分のこと。ここが一般的な包丁よりも少し広く、丁寧に磨き上げられています。硬い食材を切るときに、ここを指で押さえますが、重陽は指あたりが軟らかくて痛くなりません。

これらすべてが手作業で職人のこだわりが満載すぎるため高額ですが、いつかは使ってみたい包丁です。

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構想から商品化まで4年、職人の欲求を満たしすぎた包丁
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