心血管疾患に関する追跡期間は22万3682人-年、死亡に関する追跡期間は25万4923人-年になりました[注3]

ナッツの摂取量が多い人ほど死亡や心血管疾患は少ない

ナッツの摂取量は、「心血管疾患の発症」と「死亡」のリスクと関係していました。両者の関係に影響する可能性がある要因を考慮した上で分析した結果、ナッツの摂取量が1カ月に1皿未満の人(参照群)に比べ、1週間に5皿以上食べる人では、心血管疾患の発症が17%少なく、死亡も31%少なくなっていました(表1)。

心血管疾患の発症、心血管疾患のうち心筋梗塞・狭心症(冠動脈疾患)の発症、死亡、心血管疾患による死亡については、ナッツの摂取量が多くなるほど、利益が大きくなるという傾向性が見られました。一方、脳卒中の発症やがんによる死亡のリスクには、ナッツの摂取量は関係していませんでした。

次に、ナッツを木の実とピーナッツに分けて分析したところ、表2のような結果になりました。木の実を週に2皿以上食べている人は、月に1皿未満の参照群と比べて、心血管疾患の発症、心血管疾患のうち心筋梗塞・狭心症の発症、死亡、心血管疾患による死亡、がんによる死亡のリスクが低下していました。一方、ピーナッツの摂取量が多い人には、死亡リスクの低下のみが見られました。

最後に、糖尿病発症前と発症後の、ナッツの摂取量の変化と、その後の健康の関係について検討しました。ナッツの摂取量に変化がなかった患者に比べ、診断後に摂取量が増えていた患者では、心血管疾患の発症(11%減)、心筋梗塞・狭心症の発症(15%減)、死亡(27%減)、心血管疾患による死亡(25%減)のリスクが低いことが明らかになりました。

今回の研究結果は、2型糖尿病患者が、日常的にナッツ、特に木の実を食べると、死亡リスクが減少するなど健康への利益を得られる可能性を示しました。

論文は、Circulation Research誌2019年3月15日号に掲載されています[注4]

[注3]人-年:観察対象の集団がリスクにさらされた期間の合計。同じ集団に属する10人を10年間追跡した場合は、10人×10年=100人-年となる。同じ集団に属する5人を5年間、別の5人を10年間追跡した場合には、5人×5年+5人×10年=75人-年となる。

[注4]Liu G, et al. Circulation Research. 2019;124:920-929.

[日経Gooday2019年5月8日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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