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相撲はセネガルでも国技 国民熱狂の格闘技

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/5/29

ナショナルジオグラフィック日本版

2015年4月、デンバ・ジョップ・スタジアムでの試合。90秒以内に終わる試合もあるが、15分続くこともある(PHOTOGRAPH BY CHRISTIAN BOBST)

西アフリカの国セネガルでは、サッカー選手権の期間中、街頭の小さなテレビ画面の前に何十人もの男性が人垣を作るのは、珍しい光景ではない。だが、スタジアムを一杯にし、群衆を熱狂させるのは、セネガル相撲だ。写真で紹介しよう。

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セネガルでは、日刊紙はセネガル相撲の最新情報を伝え、選手たちの顔は、公共のバスや屋外の大きな看板でしょっちゅう目にする。ルールは簡単。基本的に両手両膝をつくか、尻や背中がつけば、負けになる。

セネガル相撲のプロ選手、アブドライ・シイさんの日課である厳しい練習は「特別な試合」の4カ月前から始まる。毎朝6時に起き、祈り、マラブー(地域の宗教指導者)が指示した秘密の液体を頭に注いで幸運を願う。そしてダカールの砂浜に出かけ、身の引き締まるような夜明け前の空気の中で稽古する。

地域の相撲トーナメントが「オリンピック・ド・ニョール」スタジアムのバスケットボールコートで開かれている。若きチャンピオン、ケルー・ニョールさんは、近隣の選手たちをサポートするために参加している(PHOTOGRAPH BY CHRISTIAN BOBST)

来月、シイさんは、中国の資金でできた新しいアリーナで戦う。体を厳しく鍛え上げるのと同じくらい、霊的な力を味方につけることにも熱心だ。朝の神秘的な「沐浴」に加え、夕方にはイスラム教の聖典コーランの引用を書いた何枚もの紙片を水の入ったびんに入れ、その水を体に注ぐ。

夕暮れどきのダカールでは、青年たちのグループが砂浜で走り、相撲の練習をする。最高峰の選手たちが稼ぐ数千万円のたとえ一部でもいいから、いつの日か手にすることを夢見ているのだ。「若者たちにとって、伝統に敬意を払いつつ、外国に移住せず国内で成功する方法だと言えます」と、セネガル相撲を10年以上研究している人類学者、ドミニク・シュビ氏は語る。

多くの人にとっては「戦うか、丸木舟か」なのだという。相撲をやるか、ヨーロッパにチャンスを求めてボートに乗り、地中海を渡るか、ということだ。

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