19世紀の半ばに英国で誕生し、スポーツウェアとして親しまれてきたブレザー。これを紳士の必需品にした立役者は、アメトラの雄、ブルックス ブラザーズであった。
自然な丸みを帯びるようパッドで整えたナチュラルショルダーに、体型を選ばないダーツレスのボックスシルエット。腰のポケットはパッチ&フラップ型で、エッジから7ミリの位置にミシンステッチが走る……これらの意匠が生むエレガンスとカジュアルさを併せ持つ佇まいは、オンオフも問わず、あらゆる男性にフィット。これが’50年代にアイビーリーガーの定番となり、卒業生のエリートがその後も愛用したことで、ブレザーは晴れてドレスのワードローブの一員となったのだ。ドレスとカジュアルの垣根が昔より曖昧になった昨今、ブレザーの万能性は、再び価値を増している。自在な着回しが可能なブレザーの基本ディテールを永世定番で今一度学ぼう。
時代によってアップデートしつつも基本ディテールは踏襲
イラストは’80年代のカタログの1コマ。胸ポケットが別仕様なのとラペル幅やシルエットに微差はあるが、基本ディテールは同じだ。これらは変える必要のない、同ブランドのブレザーの本質をなす部分といえよう。
体型も、オンオフも選ばない究極の万能服
■BROOKS BROTHERS/ブルックス ブラザーズ
アメトラの基本たるナチュラルショルダーにボックスシルエット、3ボタン段返りフロントなど、上品でいてどこかリラックスした意匠の「マディソン」フィットのブレザー。着る人も着こなしも選ばない万能な一着だ。 6万9000円(ブルックス ブラザーズ ジャパン)
[ 基本ディテール ]
(1)ナチュラルショルダー 誇張のない、自然な丸みを帯びたショルダーは、アメリカントラディショナルの精神を象徴するもの。
(2)7ミリステッチ エッジからおよそ7ミリの位置に走るミシンステッチが、スポーティな趣へつながっている。
(3)3ボタン段返り 一般的な段返りのジャケットより返りが強い。覗く第一ボタンホールがヌケ感のあるアクセントに。
(4)ボックスシルエット あらゆる体型の人に対応するべくダーツを省いたゆとりのあるシルエットは畏まりすぎない印象に。
(5)パッチ&フラップポケット スポーティなポケットといわれるパッチポケットにフラップをつけた、カジュアル感が滲むポケット。
(6)センターベント アメトラの王道なのでフックベントと思いがちだが、実はこちらはセンターベントだ。