投信の運用者、信頼できるのは誰 月次リポートは必読QUICK資産運用研究所 北澤千秋

2019/5/22
写真はイメージ=123RF
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投資信託は個人が資産を守り増やすため、プロにお金を預けて運用してもらう金融商品だ。運用会社は使命を果たすために最善を尽くしていると思うが、投資家からすれば、投信を買うならできるだけ安心して、大事なお金を託せる運用会社や運用担当者を選びたい。そこで、信頼できる運用会社や運用担当者をどう見分ければいいかを考えてみた。実はこれ、情報量が少なくてなかなか難しい。

日本人は「部品にまでこだわる」

「自動車を買うとき、多くの人が重視するのは性能で、どんな部品を使っているかまでは考えないでしょう。ところが日本人は投信になると実に細かいところまでこだわる」――。

そう話すのは、欧州の大手運用会社の幹部だ。欧州では、いったん投信を選んだら後は運用会社に任せて、どんな銘柄を組み入れているか、どんな売買をしているかなど、運用の中身まで気にする投資家はそう多くないという。

では、彼我の個人投資家の違いは何に由来するのだろうか。その幹部は「運用会社に対する投資家の信頼感の差だ」と指摘する。

欧州の個人投資家事情に疎く実際のところはわからないし、長い時間をかけて営々と信用・信頼を築いてきた一部の運用会社だけのことかもしれないが、その話が本当だとすればうらやましい。経営者が胸を張って「我々は投資家から信頼されている」と言い切れる運用会社は、日本にどれだけあるだろう。

投資家の立場からすれば、何の不安もなく運用を任せられるならそれに越したことはない。個人は何を判断基準にして安心できる運用会社や運用担当者を選べばいいのだろうか。

担当者の顔見せだけでも評価される

「多くの投信はどんな人が運用しているかさえわからない。まずは顔を見せてほしい」。独立系運用アドバイザーの吉井崇裕氏はそう主張する。ファンドマネジャーが運用の裁量を持つアクティブ型投信では、誰が運用を担当しているかは重要な投信選びの判断材料だ。その人の他の担当ファンドでの運用実績などを確認できれば、手腕を確認する手掛かりになる。

ところがそんな基本情報がなかなか手に入らない。短期間に担当が代わってしまうからなのか、運用担当者に自信がないせいなのか不明だが、運用会社のホームページ(HP)などを見てもファンドマネジャーがわかるケースはまれだ。

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月次リポートは大切な評価材料