波乱の相場、どう臨む 景気や企業業績の悪化に備え

日本では3月期決算の発表が終わった。2020年3月期は2期連続で最終減益となる見通しだ。智剣・Oskarグループの大川智宏最高経営責任者(CEO)は「米中の応酬の中で、円相場が他国通貨に対して上昇傾向にあることには注意が必要」と指摘する。「制裁関税とは直接関係のない日本の輸出企業でも、為替面で不利益を被る可能性がある」からだ。

業績予想を見直す可能性を視野に入れて、投資先を再点検したほうがいい。輸出関連企業なら想定為替レートが足元のレートとどの程度乖離(かいり)しているかなど、今期予想の前提条件を確認できる。

経済動向を注視

全体では「日経平均を構成する225銘柄のPBR(株価純資産倍率)が解散価値の1倍近くまで低下し、下げ余地は限定的」(広木氏)との見方もある。

視線を先に向けると、SMBC信託銀行プレスティアの山口真弘シニアマーケットアナリストは「国内外の景気動向に、より注意が必要になる」と話す。

6月下旬には20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ米中首脳会談が開かれる予定だ。三井住友DSアセットマネジメントの石山仁チーフストラテジストは「制裁関税の『第4弾』が実際に発動するかどうか、両にらみの姿勢を保つ」と話す。仮に、制裁関税の導入が現実味を帯びれば、世界経済の冷え込みが一段と意識されかねない。

中国の実体経済への影響にも目が離せない。人民元は昨年春と比べ対ドルで約1割安い水準にある。「足元の人民元安は追加関税の打撃を和らげる効果がある」(第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミスト)ものの、一方で資本流出という副作用を招く懸念も高まっている。

当面は企業行動や経済指標に注意すべき局面が続きそうだ。山口氏は「景気や企業業績の悪化に備えて、株式の比率を低め債券などの比率を高めるなどの対応を素早くできるよう、心構えをしておくべきだ」と助言している。

(成瀬美和、藤井良憲、川上純平)

[日本経済新聞朝刊2019年5月18日付を基に再構成]

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