日向坂46、改名&デビュー 曲ごとに異なる色見せる
2019年2月、日向坂46はけやき坂46からの改名を発表。誕生以来、欅坂46との関係は明言してこなかったが、正式に独立した1つのグループとなり、3月に『キュン』でシングルデビューした。いろいろな個性を持つメンバーがセンターに立つことで、楽曲ごとに異なる色を見せられるのが日向坂46の強みだ。
欅坂46の1期生オーディションで最終審査まで進みながら、家族の反対により辞退した長濱ねる(欅坂46卒業を発表)のために生まれたのがけやき坂46。その後、「長濱の仲間を集める」というコンセプトのもと、追加メンバーオーディションが行われ、16年5月に1期生として11人が合流した。
クールで寡黙な欅坂46とはタイプが違う、明るいメンバーが集まったこともあり、単独ライブ開催やドラマ主演など、独自の活動が多かった。17年には2期生9人も加わっている。
だが、楽曲においては約2年間、欅坂46のシングルやアルバムにカップリングとして収録されるだけの状態が続いた。日向坂46運営委員会委員長を務める今野義雄氏は「なかなか自分たちの未来が見えてこない状況が続くなか、メンバーは1人も腐ることなく、ピュアに自分たちができることを頑張っていた。ターニングポイントは昨年6月の初アルバム『走り出す瞬間』です。自分たちの曲が増え、ライブががぜんパワーアップしてたくましくなった」と話す。
ダンスが動画サイトで話題
シングルデビュー曲は、日向坂46という名前のイメージに合った、明るい青春ソングの『キュン』に決定。CRE8BOYが手掛けた、体を振りながら両手でポーズを取るキャッチーな「キュンキュンダンス」は注目を集め、動画サイトに「踊ってみた動画」をアップするユーザーが増えている。
『キュン』のセンターには、『Seventeen』専属モデルとしても活躍中で、クールな存在感を秘める2期生の小坂菜緒が選ばれた。「かわいい曲調の『キュン』をセンターで歌うことで、小坂はかっこよさとかわいさの両方が表現できるように成長するのではと期待しています。日向坂46はいろいろな個性を持つメンバーがセンターに立つことによって、楽曲ごとに異なる色を見ることができます」(今野氏、以下同)。
日向坂46の強みは、大きな会場で豊富なライブ経験を積んできたことだ。シングルデビュー前ながら、欅坂46の代わりに行った2日間を含めて、日本武道館でのコンサートを昨年1年で計6日間も開催した。初期から欅坂46と同じくTAKAHIRO氏のダンスレッスンを受け、パフォーマンス力にも定評がある。また、既に5人のファション雑誌専属・レギュラーモデルが誕生しているように、乃木坂46に通じるガーリッシュで洗練されたビジュアルのメンバーが多く、今後は女性支持の上昇も期待される。
今野氏も、日向坂46の魅力を「乃木坂46と欅坂46のハイブリッド」と表現する。「乃木坂46のような清楚なかわいさと、欅坂46のような世界観のある楽曲の表現と、日向坂46はどちらもできるグループ。ただ、今後の課題はそれにどんな独自のカラーを加えることができるかです。日向坂46の知名度を高めるために、今年はツアーはもちろん、フェスなど、初めて彼女たちを目にする方が多いイベントにも注力していきたい。その先にヒット曲を生み出すという大きな目標があります」
ソロでの知名度も上昇中
前述の雑誌モデルのほか、19年1月には2期生の渡邉美穂が日向坂46から初の写真集『陽だまり』を発売するなど、ソロ活動を見せるメンバーも増えている。また、「独自のオーラを放っている」と今野氏が話す14歳の上村ひなのも、唯一の3期生(18年12月加入)ということで注目を集め始めた。今はまだ、乃木坂46の白石麻衣や欅坂46の平手友梨奈のように、ファン以外にも広く知られているメンバーはまだ出てきていないが、個々のメンバーの知名度アップとともに、グループへの関心度も高まっていきそうだ。
(ライター 高倉文紀、日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)
[日経エンタテインメント! 2019年5月号の記事を再構成]
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