2019/5/25

返済困難に陥った際に借入先の銀行などに申し出ると、弁護士らが無償で協力してくれる。協議して合意が成立すれば簡易裁判所に特定調停を申し立てるという流れだ。

破産手続きに比べて債務者のメリットは大きい。被災後の生活に必要な資金を手元に残しやすいためだ。破産の場合、資産処分により最大でも99万円しか残らないが、同指針に基づく債務整理では最大500万円を確保でき、残りの財産でローンの一部を返済する。被災者生活再建支援金や義援金などとして受け取ったお金も温存できる。

日本弁護士連合会災害復興支援委員会幹事を務める弁護士の亀山元氏は「もし被災したら早めに金融機関に出向いて同ガイドラインを使いたいと伝えるのが大切。事前に登録された弁護士らが手助けをする」と話す。

家の被害が甚大な場合は建て直すか、新たに購入する必要が出てくる。住宅金融支援機構には被災者向けに低利で融資する住宅ローン制度「災害復興住宅融資」がある。通常タイプの金利は年0.41%(今年5月分、特例加算部分は1.31%)。

住宅が被災して自治体からり災証明書を交付された場合が対象だ。被災日から原則2年間申し込みを受け付ける。

高齢者向け特例

17年からは「高齢者向け返済特例」という仕組みが追加された。通常タイプと異なり、月々の返済は利息部分のみで、元金部分は将来自分が亡くなった後、家の売却などを通じて一括返済する仕組み(リバースモーゲージ型)だ。

適用金利は現在年1.95%。家の売却額が残債より少なくても不足分が相続人へ請求される恐れはない。高齢で収入が細った被災者に有効な制度だが「子どもらが再建に協力できるなら通常の復興融資の方が有利な例が多い」(同機構災害融資グループ)。

様々な支援制度があることを頭に入れておけば万が一のときの生活再建に役立つ。自身で契約する火災保険や地震保険といった災害補償とともにふだんから理解を深めておきたい。

(堀大介)

[日本経済新聞朝刊2019年5月18日付]