何を疑っているの? doubtとsuspectでは真逆の意味デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(69)doubt

言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回のテーマは、「~でないかと疑う」と言いたいときに気をつけるべき点です。

◇  ◇  ◇

勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。

ナンシーが何やら書類とにらめっこ。どうしても金額の計算が合わないようで困っています。そもそもの数値が間違っているのかもしれないと思って、同僚のヒロシに確認を求めました。ヒロシも数値がおかしいと感じたので、「間違っていると疑っている」と答えました。ところが、そのあとの会話がかみ合わず、ナンシーは混乱してしまいます。その原因はいったいどこにあったのでしょうか?

それは、こんな会話でした。

Nancy: These numbers don't seem correct.
Hiroshi: Let me see...I doubt they're wrong.
Nancy: So, why doesn't the calculation add up?
Hiroshi: Because the numbers are wrong!
Nancy: Huh?

期せずしてヒロシはこう言ったことになります。

ナンシー:ここの数字が正しくないみたい。
ヒロシ:ええっと、間違っているというのは疑わしいな。
ナンシー:なら、どうして計算が合わないの?
ヒロシ:数字が間違っているからさ!
ナンシー:はあ?

日本語では、たとえば「私は彼が嘘をついていると疑っている」のように、「~だと疑う」という言い方をしますので、これをそのまま英語に移し替えて、I doubt that ...と表現したくなるかもしれません。 しかし、doubtという動詞は「~を疑う」の意味で使われますので、目的語の位置には「疑われること」が来ます。そのため、ヒロシが言ったI doubt they're wrong.は、「私はそれら(数字)が間違いだと疑っている」ではなく、「それら(数字)が間違いだ、ということを私は疑っている」という真逆の意味になるのです。

次の文章でも、doubtがどういう使われ方をしているのか確かめてみてください。

例)We never doubted that Mark would get the promotion. 私たちはマイクが昇進することを疑いもしなかった。

例)I doubt whether the new staff member will be able to lead the meeting. その新入社員に会議の進行が務まるかを私は疑問に思う。

では、どう言えばよかったのでしょうか。

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
次のページ
この際おさえておきたいdoubtの使い方
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら