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やっかいな爪水虫 治ったと思っても油断は禁物

日経Gooday

2019/5/24

「足の裏に白癬菌が付着しても、感染するまでに半日以上かかります。それまでに洗い流せばいい。白癬菌ははがれた他人の角質の中にいて角質として付着するので、消毒薬を使わなくても洗うだけで簡単に落とせます。温泉やプールなど不特定多数の人がはだしになる場所に行ったときは、帰宅後必ず足を洗うことを心がけてください」(常深さん)

なお、軽石やナイロンタオルなど硬いもので足の裏をゴシゴシとこするのはNGだ。角質層に傷がつくと、より白癬菌が入り込みやすくなってしまう。

では、いざ爪水虫になってしまったらどうすればいいのだろう?

■再発しない「完全治癒」を目指す

爪水虫に対して、現在日本では2種類の外用薬(塗り薬)と3種類の経口薬(飲み薬)が使われている。外用薬は2014年に登場したエフィナコナゾール(一般名・以下同)と、2016年に登場したルリコナゾール。経口薬は1993年に登場したイトラコナゾール、1997年に登場したテルビナフィン、そして2018年に登場したホスラブコナゾールだ。

塗り薬と飲み薬という選択肢があった場合、患者としては塗り薬を使いたい人が多いかもしれない。実際、爪水虫の塗り薬は全身に作用する飲み薬のような副作用が少なく、安全性が高い。爪水虫の経口薬には時々軽い肝機能障害などの副作用があるし、妊婦や授乳中の女性は使えない。ワルファリン(血液を固まりにくくする薬)など、相互作用を注意すべき薬もある。

ところが皮膚にできる水虫と違って、爪は硬いため外から薬を塗っても中まで浸透しにくい。残念ながら「塗り薬だけで治る爪水虫は一部しかない」と常深さんは指摘する。

「日本、英国、カナダの爪水虫の治療ガイドラインでは、いずれも飲み薬が第一選択になっています。塗り薬は安全性が高いというメリットがありますが、治せるのは爪の先端や表面だけに菌がいる軽症のタイプに限られる。1年間塗り続けても治癒率は20%弱という報告もあり、途中で治療を諦める人も少なくありません。一方、飲み薬の場合は新しく作られる爪に薬の成分が含まれているため、やがて線を引いたようにきれいな爪が生えてくる。患者自身が効果を実感し、治療期間が短いこともあり、治療を継続しやすいといえます。安全のため時々採血検査も行うので安心です」(常深さん)

また、従来から使われていたテルビナフィンは半年ほど飲み続けなければならなかったが、新しいホスラブコナゾールは1日1回3カ月飲み続ければいい。

「爪水虫は感染症なので、多少きれいになっても菌が生き残っていれば再発を繰り返すし、足の水虫やたむしになるリスクも高くなります。数値が改善するだけでも意味のある生活習慣病などと違って、感染症は中途半端な治療では意味がない。あくまで『完全治癒』を目指すべき。そのためには皮膚科を受診し、経口薬を飲むのが最も確実な方法です」と常深さんは話す。

まずは足や爪の水虫にならないように注意し、爪水虫を発症してしまったら、こじらせたり家族にうつしたりする前に皮膚科を受診したい。

(ライター 伊藤和弘)

常深祐一郎さん
埼玉医科大学皮膚科教授。1999年東京大学医学部卒業。同皮膚科助教、東京女子医科大学皮膚科講師などを経て、2014年に東京女子医科大学皮膚科准教授。19年より現職。専門は皮膚真菌症、乾癬、アトピー性皮膚炎など。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本医真菌学会認定医真菌専門医。著書は『毎日診ている皮膚真菌症―ちゃんと診断・治療できていますか?』(南山堂)など多数。

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