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やっかいな爪水虫 治ったと思っても油断は禁物

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

梅雨が近づき、気温と湿度が上がっていくこれからの季節は水虫に悩まされる人が増えていく。特に爪にできる「爪水虫」(爪白癬)は完治させるのが難しく、これが原因で足の水虫を繰り返す人も多い。埼玉医科大学皮膚科教授の常深祐一郎さんが2019年4月に行ったメディアセミナー「感染拡大・再発を防ぐカギは完全治癒~爪水虫(白癬)の完全治癒に向けて~」(佐藤製薬・エーザイ共催)から、やっかいな爪水虫の対処法をお伝えしよう。

爪水虫を治すのが難しいワケ

「水虫を知らない人はいないと思いますが、爪も水虫になることは知らない人もいるかもしれませんね」と常深さんは話し始めた。

水虫とは、真菌(カビ)の一種である白癬菌が足の角質層(皮膚の表面)に感染して起こる感染症で、医学的には「足白癬(あしはくせん)」と呼ぶ。爪にできる爪水虫は「爪白癬(つめはくせん)」と呼ぶ。

白癬菌は皮膚の角質層の中でケラチンというたんぱく質をエサにして繁殖する。角質層は外からの刺激や乾燥を防ぐ大切なバリアーだが、細胞自体は死んでいて血管もないため白癬菌が潜んでいても体の免疫システムに感知されにくい。中でも足の裏は角質層が厚いうえ、湿度もあるので白癬菌にとっては絶好のすみかになっているわけだ。

水虫の人がバスマットなどを踏むと、はがれた角質とともに、そこにすみついている白癬菌もばらまかれる。それを他の人が踏むと足の裏に白癬菌が付着。そのまま半日ほど放っておくと白癬菌が角質層に侵入し、その人にも水虫がうつってしまう。

爪もケラチンの固まりだが、皮膚と違って硬いため白癬菌が入り込むのは難しい。そのため、ほとんどの爪水虫は足の水虫から始まるという。足の水虫を放置しておくと、やがて足の裏で増えた白癬菌が爪の先端や横から爪の下に侵入して爪水虫を発症することになる。

爪水虫になると足の爪が白く濁り、分厚くなったり変形したりする。変形が進むと爪切りで切ることが難しく、分厚く盛り上がった爪が靴とぶつかるなどして歩くときに痛みを感じるようにもなる。水虫だけではなく、感染源となり白癬菌が背中やお尻などに皮疹などの症状を引き起こす「たむし」にもなりやすい。実際、「たむしの人の足を見ると爪水虫や足の水虫になっていることが多い」と常深さん。さらに、同居している家族に水虫をうつすリスクも高くなってしまう。

「爪水虫は一度かかると自然に治ることはないし、市販されている水虫の塗り薬では治せない。治療を受けて多少よくなっても、実は白癬菌が奥のほうに残っていることも多く、そうなると当然再発しやすくなります。だから、自己判断で治療を途中でやめるのは禁物。完治したはずの爪水虫が再発した、あるいは、毎年のように足の水虫になるという人は、爪に白癬菌が残っていることが多いですし、爪水虫があること自体に気づいていない人も少なくありません」(常深さん)

最大の予防法は足の水虫にならないこと

皮膚科医による調査では、水虫の頻度は足の水虫がおよそ6人に1人、爪水虫が10人に1人と推計されている(日本皮膚科学会雑誌 2001;111:2101-12.)。つまり1000万人以上いるというわけだ。ところが放置している人も多く、「データによると治療を受けている人は約180万人しかいない」(常深さん)。

しかも、足の水虫は市販薬でも治りやすいこともあり、70歳を過ぎてリタイア世代になり革靴を履く時間が減るとともに減っていくのに対し、市販薬では治せない爪水虫は年齢とともに右肩上がりで増えていき、70歳以上では実に20%以上に達する (日本皮膚科学会雑誌 2001;111:2101-12.)。

前に触れたように爪水虫は足の水虫から始まることが多い。足の水虫が慢性化した結果、爪の中にまで白癬菌が入り込む。となれば、最大の予防法は足の水虫にならないことだ。

「足の裏に白癬菌が付着しても、感染するまでに半日以上かかります。それまでに洗い流せばいい。白癬菌ははがれた他人の角質の中にいて角質として付着するので、消毒薬を使わなくても洗うだけで簡単に落とせます。温泉やプールなど不特定多数の人がはだしになる場所に行ったときは、帰宅後必ず足を洗うことを心がけてください」(常深さん)

なお、軽石やナイロンタオルなど硬いもので足の裏をゴシゴシとこするのはNGだ。角質層に傷がつくと、より白癬菌が入り込みやすくなってしまう。

では、いざ爪水虫になってしまったらどうすればいいのだろう?

再発しない「完全治癒」を目指す

爪水虫に対して、現在日本では2種類の外用薬(塗り薬)と3種類の経口薬(飲み薬)が使われている。外用薬は2014年に登場したエフィナコナゾール(一般名・以下同)と、2016年に登場したルリコナゾール。経口薬は1993年に登場したイトラコナゾール、1997年に登場したテルビナフィン、そして2018年に登場したホスラブコナゾールだ。

塗り薬と飲み薬という選択肢があった場合、患者としては塗り薬を使いたい人が多いかもしれない。実際、爪水虫の塗り薬は全身に作用する飲み薬のような副作用が少なく、安全性が高い。爪水虫の経口薬には時々軽い肝機能障害などの副作用があるし、妊婦や授乳中の女性は使えない。ワルファリン(血液を固まりにくくする薬)など、相互作用を注意すべき薬もある。

ところが皮膚にできる水虫と違って、爪は硬いため外から薬を塗っても中まで浸透しにくい。残念ながら「塗り薬だけで治る爪水虫は一部しかない」と常深さんは指摘する。

「日本、英国、カナダの爪水虫の治療ガイドラインでは、いずれも飲み薬が第一選択になっています。塗り薬は安全性が高いというメリットがありますが、治せるのは爪の先端や表面だけに菌がいる軽症のタイプに限られる。1年間塗り続けても治癒率は20%弱という報告もあり、途中で治療を諦める人も少なくありません。一方、飲み薬の場合は新しく作られる爪に薬の成分が含まれているため、やがて線を引いたようにきれいな爪が生えてくる。患者自身が効果を実感し、治療期間が短いこともあり、治療を継続しやすいといえます。安全のため時々採血検査も行うので安心です」(常深さん)

また、従来から使われていたテルビナフィンは半年ほど飲み続けなければならなかったが、新しいホスラブコナゾールは1日1回3カ月飲み続ければいい。

「爪水虫は感染症なので、多少きれいになっても菌が生き残っていれば再発を繰り返すし、足の水虫やたむしになるリスクも高くなります。数値が改善するだけでも意味のある生活習慣病などと違って、感染症は中途半端な治療では意味がない。あくまで『完全治癒』を目指すべき。そのためには皮膚科を受診し、経口薬を飲むのが最も確実な方法です」と常深さんは話す。

まずは足や爪の水虫にならないように注意し、爪水虫を発症してしまったら、こじらせたり家族にうつしたりする前に皮膚科を受診したい。

(ライター 伊藤和弘)

常深祐一郎さん
埼玉医科大学皮膚科教授。1999年東京大学医学部卒業。同皮膚科助教、東京女子医科大学皮膚科講師などを経て、2014年に東京女子医科大学皮膚科准教授。19年より現職。専門は皮膚真菌症、乾癬、アトピー性皮膚炎など。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本医真菌学会認定医真菌専門医。著書は『毎日診ている皮膚真菌症―ちゃんと診断・治療できていますか?』(南山堂)など多数。

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