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ラーメン官僚 オススメの一杯

シジミや名古屋コーチンの新味 令和もラーメンが熱い

2019/5/24

「IRUCA-Tokyo- 入鹿東京」の「柚子塩らぁ麺」

現在、同店が提供する麺メニューは「柚子(ゆず)塩らぁ麺」と「醤油らぁ麺」の2種類。どちらも「新店離れした水準の高さ」との評価を得ているが、初訪問時に召し上がっていただきたいのは「柚子塩らぁ麺」だ。

店主の出身地である名古屋へのオマージュを込め、だしの素材として名古屋コーチンの丸鶏と手羽先を使用。それに、大量の大山鶏のガラを加え、鶏が持つうま味の粋を徹底的に搾り取る。だしと並んでスープの構成要素となる塩ダレは店主がえりすぐった5種類の塩に加え、薫り高いアゴ(トビウオ)などの煮干しをタップリ溶け込ませたもの。この両者を絶妙なバランスで掛け合わせたスープなのだから、胃袋に刺さらないわけがない。

「入鹿東京」のおしながきもシンプル

すすると、重厚なコクと分厚いうま味を兼ね備えた名古屋コーチンが丸ごと一羽口の中へと飛び込んできたかのような感覚がする。食べ手を驚嘆へと導き、立て続けにアゴの芳醇(ほうじゅん)な香りが味覚中枢の核心部分を貫く。スープに含まれるうま味をより一層際立たせるためにセットされた鶏油の素材として、だしに用いた名古屋コーチンと大山鶏を採用するなど、豊かな修業経験に裏打ちされたギミックも見事のひと言だ。

このスープの相棒として、かむと顎を押し返すような粘性のある中加水ストレート麺を採用。すすり上げる度に強烈な存在感を放つ麺はスープを引き立てる「脇役」ではなく、スープと並び立つもうひとりの主人公だ。

「平成」の後期、瞬く間に創作ラーメンのメインストリームを築き上げた清湯ラーメン。どちらかと言えば、繊細で上品な方向性を志向していたこのジャンルだが、ここにきて、繊細かつ大胆という方向性へと舵(かじ)を切りつつあるのかもしれない。「入鹿東京」の1杯はそんな新潮流の到来を予感させるものだった。

(ラーメン官僚 田中一明)

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