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週末移住で自分を再発見 デュアルな生活最前線 20~30代が6割、年収関係なく裾野拡大

2019/5/19

都市部への人口集中が進み、住宅価格の高騰や混雑する通勤電車などにストレスを感じる人が多いなか、こうしたデュアラーたちのしなやかな生き方には参考になる点が多そうだ。

■世帯年収800万円未満が過半

リクルート住まいカンパニー(東京・港)の調査によると、「デュアラー」の約6割が20~30代で、世帯年収も過半が800万円未満だ。年収に関係なく、若年層を中心にデュアルライフが広がりつつあるようだ。

調査はリクルート住まいカンパニーが2018年秋、全国の20~69歳の男女5万人に実施した。

デュアルライフの実践者を年代別に見ると、最も多かったのは30代で全体の29%を占めた。次いで20代が28%となり、20~30代だけで実に全体の57%に達した。40代は17%、50代や60代はそれぞれ13%にとどまった。

世帯年収別に見ても400万円未満が16%、400万円以上600万円未満が18%、600万円以上800万円未満が18%となり、800万円未満の層が過半を占めた。年収に応じて、身の丈に合ったデュアルライフが広がっているようだ。

デュアルライフを送る2拠点目までの移動時間(片道)では「1時間以上1時間半未満」が22%と最多だった。次いで「1時間半以上2時間未満」の20%、「30分以上1時間未満」の13%となり、2時間半までの移動が全体の約7割を占めた。交通手段(複数回答)では電車を使う人が最多の69%で、自家用車の57%が続いた。

デュアルライフの満足度も総じて高い。デュアルライフの実施前と後で生活満足度の変化を調査したところ、「満足度が上がった」もしくは「やや上がった」との回答が78%に達した。自由回答でも「ストレスがたまらなくなった」「町中ではできなかった趣味ができるようになった」「子どもが自然と触れ合えるようになった」などの声が多かった。

もっとも2拠点生活では、家賃などの居住費や交通費などのコストがかさむことも確かだ。

このため、別のデュアラーと共同で不動産を購入したり、家賃を支払ったりすることでコストを抑えるケースが目立つ。また18年6月に民泊が本格解禁されたことで、不在時は宿泊施設として活用し、副収入を得るケースもあるようだ。

調査ではデュアルライフの実践者は現状では全体の1.3%にとどまった。ただ「拠点を探している」「今後したいと考えている」など、デュアルライフに関心持つ人は14%に及んだ。

■ITの進歩も後押し

デュアラーが注目を集める背景には、人々の価値観の変化がある。リクルート住まいカンパニーが運営する「SUUMO(スーモ)」の笠松美香・副編集長は「働き方改革で時間にゆとりが生まれたことに加え、大規模災害が頻発し、都市部だけの生活を見直す人が増えてきた」と分析する。

IT(情報技術)の進歩も2拠点生活を後押しする。ITエンジニアなどを中心に、職場以外でも働きやすくなったからだ。長野県小布施町でシェアオフィス「ハウスホクサイ」を運営する塩沢耕平氏は「場所にとらわれずに働ける人が増えてきた。生活スタイルに合わせて複数の拠点を持つ人は、さらに増える」と話していた。

(古賀雄大)

「+(タス)ヴェリ」は週刊投資金融情報紙「日経ヴェリタス」編集部による連載コーナーです。タスヴェリはNIKKEI STYLEでだけ読めるスペシャル企画で、ミレニアル世代と呼ばれる20~30代の価値観やライフスタイルを、同年代の記者が取材し幅広くご紹介します。更新は不定期です。

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