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週末移住で自分を再発見 デュアルな生活最前線 20~30代が6割、年収関係なく裾野拡大

2019/5/19

地元の養鶏業者から差し入れの卵を受け取る成田剛史さん(左)(千葉県南房総市)

平日は都会で仕事をこなし、週末は地方で趣味や子育てを楽しむ「デュアルライフ(2拠点生活)」が注目を集めている。従来は富裕層による別荘生活のイメージが強かったが、最近は現役・子育て世代が割安な空き物件を活用するケースが増えてきた。新しい生活スタイルの最前線を追った。

■千葉県南房総市に2千平米の物件購入

「ここをこう切った方がいいんじゃない」「そうだね、じゃあ電ノコ(電動ノコギリ)あてるから押さえて」──。

5月中旬のある晴れた週末、東京から車で1時間半。千葉県南房総市のある古民家の庭先で、成田剛史さん(52)は地元の人たちと一緒に汗を流していた。

成田さんが約8年前に購入したのは敷地面積2000平方メートルの物件だ。普段は千葉県流山市に住み、東京・大手町の大手コンサルティング会社で働いている。毎週金曜日に仕事が終わると、車を走らせて南房総市を訪れる「デュアラー」だ。

日中は地元の人や移住者たちと一緒にDIYや家庭農園の手入れに夢中になり、日が暮れると自分で収穫した野菜や近隣の山で捕獲したジビエ(野生鳥獣肉)を調理。自分たちでこしらえたテラスでビールや日本酒を飲みながら料理に舌鼓を打ち、笑い声は夜遅くまで絶えない。

■東日本大震災がきっかけ

2拠点生活を始めたのは、2011年の東日本大震災がきっかけだ。もともとアウトドアが趣味で毎週末のようにキャンピングカーで全国を転々としてきたが、地域との交流や家庭農園への憧れもあり2拠点目を探していた。なかなか物件を決めきれなかったが、震災直後にボランティアとして宮城県に足を運び、がれきの山を目の当たりに。そして、「思い出や財産、そして命が一瞬でがれきの中に消えてしまうことがある。やりたいことは今すぐやろう」と決意。わずか2カ月後に南房総の物件を1000万円で購入した。

傷んだ家屋を手入れしたり、自分で調達した油圧ショベルで庭の竹林を伐採したり、とさらに約700万円をかけて生活拠点を整えてきた。

最初はひとりで作業していたが、次第に周辺の移住者や、地元の人たちとも交流を深めるようになったという。この日も地元の養鶏業者「すぎな舎」の川合淳一さん(34)が訪れ、産みたての卵を140個差し入れてくれた。川合さんは「外から人が来てくれると地域が活気づく」と話す。

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