アニメ『ULTRAMAN』 初代の息子が新ヒーローに
巨大怪獣の侵略から地球を守るヒーローを描く特撮ドラマ「ウルトラマン」シリーズ。4月からNetflixで全世界配信中の「ULTRAMAN」は、清水栄一×下口智裕によるマンガが原作のアニメ作品。1966年放送の第1作でウルトラマンとして戦った早田進の息子で、高校生となった早田進次郎が主人公だ。
監督は、日本アニメを長年リードする2人。「攻殻機動隊S.A.C.」「東のエデン」など、深い人間ドラマと緻密かつ先鋭的な映像表現で高い評価を得る神山健治と、日本における3DCGアニメの第一人者で「APPLESEED」などの代表作を持つ荒牧伸志がダブル監督としてタッグを組み、フル3DCG作品として制作している。
企画が動き出したのは約3年前。子どもの頃から「ウルトラマン」を見ていたという神山監督は、オファーを受け「『ウルトラマン』を作れるのは面白いと思った。CGとの相性もいい」と感じたそう。一方の荒牧監督も原作を読み、「キャラクターの頭身がリアルで、現代の街が舞台という点でCGに向いている。今までやってきたことの延長線上でルック(ビジュアル)的にもやれるなと思った」と話す。
シナリオは神山監督、絵コンテは荒牧監督がそれぞれリードしながらも、全行程をお互い見る形で制作は進められたという。「若い頃だったらケンカしていたかも(笑)」と荒牧監督は笑ったが、「作品に対する考えやアプローチに関して、同じ目線で考えてくれる人がいるのは心強かったし、発見もあった」と神山監督は作業を振り返る。「僕1人だったらブレーキを掛けていたところを、もっともっと!と神山さんが背中を押してくれました」(荒牧監督)
神山監督は、荒牧監督が得意とする実際の役者の演技を反映させるモーションキャプチャーを用いたCG制作に刺激を受けたそう。「これまでもフルCGアニメは作ってきましたが、モーションキャプチャーは初めて。通常の作画アニメだと、どうしても作業進捗に振り回されてしまい、演出までいけてなかったなと。それが今回は役者と直接やり取りするので、演出意図が介在した映像になった」と神山監督。
2人が考える今作の見どころは。「原作マンガは『ウルトラマン』を踏襲している部分と再構築している部分があり、若い世代は『ウルトラマン』をこう見ているんだと思ったんです。そのアレンジに『ウルトラマン』=特撮という僕らなりの視点を入れ、両方うまくいっている手応えはあります」(神山監督)
「新しいヒーローが生まれる話です。アニメとは言っていますが、演技ベース。基が特撮なので生っぽくしたかった。ただのアニメではないことを、見て、感じてほしいです」(荒牧監督)
(「日経エンタテインメント!」5月号の記事を再構成 文/山内涼子)
[日経MJ2019年5月17日付]
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