新しいメンバーが命を吹き込む 組織を人に合わせよう一橋大学名誉教授 石倉洋子(6)

新しいメンバーの知識やスキルについても同様です。新しいメンバーが若い世代だった場合、IT関連の知識やスキルは若い人のほうが圧倒的に豊富であり、また実践経験も多いので、スピードが違います。こうした新しいスキルをどう活かすか、どのように仕事やプロジェクトに貢献してもらうか、と考えるわけです。

日本では長い間、年功がリーダー選定や発言権の基準になってきましたが、それをひっくり返すことによって、新しい命が仕事やプロジェクトに吹き込まれるようになるのです。

外部からも積極的なアイデアを募る――ANA「Blue Wing」プロジェクト

新しいメンバーによって、新しい命がプロジェクトに吹き込まれた例を紹介しましょう。私が東京・六本木のアカデミーヒルズでやっている「石倉洋子のグローバルゼミ」から生まれた、ANAの「Blue Wing」というプロジェクトの事例です。

このプロジェクトは、企業が自社の資産を活用することによって社会的課題解決に貢献することができ、自社の地位や長期的な収益性にもつながるという「共有価値創造」(CSV:Creating Shared Value)の好例です。Blue Wingプログラムでは、社会起業を支援するNPO「アショカ」と協力し、5人の社会起業家を支援しています。

「グローバルゼミ」の1期生がこのコンセプトとアイデアを考え、それを進化させながら、4年間かけて会社を説得し、2014年春から実験的に試してみるところまで行きました。しかし当初、あまりうまく進まず、このままではこのコンセプトは打ち切りになってしまう恐れがありました。

そのような危機感から、私が「グローバルゼミ」と並行して毎月行っている「ダボスの経験を東京で」のセッションで、SNSで多くのサポートを集める具体的なアイデアを考える、というテーマを設定し、参加者が知恵を出し合いました。

いろいろ効果的なアイデアが生まれたのですが、プロジェクトのメンバーにとって意義があったのは、アイデアだけでなく、初めてこのプロジェクトを知った外部のメンバーの「エキサイトさ」であり、「高いエネルギーレベル」だったのです。

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