井浦新 気持ちはずっと不器用な新人のまま恋する映画 『嵐電』幻想的に交錯する3つの恋愛

命は限られているから無駄にしたくない

――プライベートな話も少しお聞かせください。多忙な生活のなかでどのように過ごしてリラックスしていますか?

井浦:休みがあったら、山や外に出かけることが多いです。家で過ごすとしても、ボーっとしたり、一日中寝てしまったりしたくないので、本を読んだりしています。時間を持て余していた昔の方が「何もしないってぜいたくだな」と思って過ごしていましたが、そういう自分が嫌だったので、変わりました。

――そんな風に変わったきっかけは何ですか?

井浦:別に休むことは悪いことではないですが、自分の命は限られているものですから。死に近づいているのをかみしめる瞬間もあるので、「怠けていたくない」「無駄にしたくない」という気持ちがあります。

――最後に、俳優デビューから20年が過ぎましたが、振り返ってみた心境と今後へかける思いについて教えてください。

井浦:数字にしてみると「20年も?」と思うんですが、自分のなかではあっという間だなと感じています。しかも、まだ僕にはいろんなものが足りないので、キャリアや年齢でいえばいい中堅のはずなのに、気持ちはずっと不器用な新人のまま。時間だけが過ぎているような気がしています。

でも、そこにはご縁をいただいて出会ってきた人たちや一緒に映画を学んで作ってきた人たち、さらに教えてもらった人たちが確かに僕の記憶のなかにはいるので、これからの20年も同じように時間を費やしていきたいです。そして、自分が信じてやってきた映画づくりの現場での関わり合い方を20年後もちゃんと続けていられるようにしたいというのが、僕にとって一番大事なことだと思っています。

『嵐電』(C) Migrant Birds / OMURO / Kyoto University of Art and Design
『嵐電』
監督:鈴木卓爾
出演:井浦 新、大西礼芳、安部聡子、金井浩人、窪瀬 環、石田健太、福本純里、水上竜士ほか
配給・宣伝:ミグラントバーズ、マジックアワー
5月24日(金)よりテアトル新宿、京都シネマほか全国順次公開


【ストーリー】
鎌倉から京都に降り立ったノンフィクション作家の平岡衛星は、嵐電が走る線路のそばに部屋を借り、嵐電にまつわる不思議な話についての取材を始める。そこには、衛星がかつて妻と経験した出来事を呼び覚ます目的があった。一方、青森から修学旅行でやってきた女子学生の北門南天は地元の少年に恋をする。さらに同じ頃、太秦撮影所近くにあるカフェで働く小倉嘉子も、東京から撮影で来ていた俳優に引かれ始めてしまう。嵐電の街で、3組の男女の恋が進もうとしていた……。

(ライター 志村昌美、写真 武田光司)

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