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つけ麺にA5和牛のトッピング 豪州ラーメン最新事情

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NIKKEI STYLE

世界的なラーメンブームの中、オーストラリア・シドニーでは近年ラーメン大ブームが巻き起こっている。日本から上陸した有名な豚骨やしょうゆの定番ラーメンだけでなく、今やつけ麺や味噌ラーメンまでオーストラリア人に食されているのだ。中にはA5ランクの高級和牛をトッピングした豪華なラーメンまで登場。百花繚乱(りょうらん)のシドニー・ラーメン、最新事情をリポートしよう。

まずはシドニーにある「Gaku Robata Grill(楽ろばたグリル)」を訪問。街の中心部から徒歩約15分もかかるにもかかわらず、いつも行列のできる話題の店だ。定番の「Chicken-Tonkotsu(チキン-豚骨)」(15豪ドル/約1170円)や、「Asari Soy(アサリ塩)」(17豪ドル/約1326円) ・「Duck"Yuzu"(カモユズ)」 (19豪ドル/約1482円)といった和風テイストなど、ランチは40杯限定で5種類のラーメンを提供し、夜は炭火炉端焼きを楽しませる。地元の常連客が多く、中には週5ペースで通う熱狂的なラーメン・ファンまでいるという。

特筆すべきは、同店では「日本産の和牛」を使った「A5 WAGYU BEEF RAMEN」(30豪ドル/約2340円)を提供していること。高級プレミアム商品ながら、日本で和牛を食べたことがあるオーストラリア人や、和食好きな客に大人気。「オーストラリアでは非常に珍しい鹿児島産のA5ランクの和牛を輸入して使っています」と説明するのはオーナーの犬飼春信さん。オーストラリアには地元のオージービーフや地元産のWAGYU(和牛)が出回っているが、日本産和牛を輸入して使っているのはとても珍しいという。

さっそく注文してみると、しょうゆベースのスープには麺が見えないほど和牛のスライスがのせてある。和牛は熱々のラーメンにのせる前に生のものを薄くスライスしたもので、軽くしゃぶしゃぶしたような食感。口に含むとほのかに甘いうま味が押し寄せ、それほどかまなくとも溶けてなくなる。日本人なら焼き肉で味わいたくなる濃厚なうま味。ブラックペッパーが効いているので食べ飽きない。

日本産和牛はオーストラリア産の和牛とはうま味も肉質も全く異なるので、そのおいしさを味わってもらうために、わざわざ輸入しているのだという。「日本産和牛ってこんなに軟らかくて濃厚なの?と地元の方はとても驚かれます」と犬飼さん。

ちなみに犬飼さんはもともとはフレンチのシェフ。1994年、東京・恵比寿の有名フレンチ「タイユバン・ロブション」の立ち上げメンバーとして入り、97年シドニーに渡ってからは「The Observatory Hotel(ザ オブザバットリー ホテル)」の五つ星フレンチ「Galileo(ガリレオ)」で調理長を5年務め、米国ビル・クリントン元大統領に料理を提供したこともあるスゴ腕シェフ。料理の鉄人のフレンチ・坂井宏行シェフとコラボしたこともある。

なぜ彼はフレンチからわざわざラーメンに転身したのか? 「実は調理技法が少し似ているんですよ」と犬飼さん。例えばフレンチではソースを作る時に、肉の骨に香味野菜などを加えて焼くが、その時に出るうま味エキスは、ほかのいろいろなソースにも加えることでうま味を高める。ラーメンでも肉骨や香味野菜を煮込んでクリアなスープを作るが、その途中で取り除く肉脂エキスは、様々なラーメンに加えることでうま味を強化するのだ。フレンチの技法が同店のラーメンには生かされている。

もともと麺やラビオリなど麺類を作るのが好きだった犬飼さんによると、「むしろラーメンの方がフレンチより難しい」のだとか。「フレンチは後からソースに赤ワインを加えて味の調整をすることもできますが、ラーメンはレードルでタレを計り入れ、スープを注いだらそこで味が決まってしまう。後からやり直しがきかない。一発勝負!」。

犬飼さんは今、ラーメンの可能性は無限大だと感じている。「80代の年配のお客様までわざわざラーメンを食べに来てくれます。これは日本でも見ない光景。すごいことです!」と犬飼さん。ちなみにとても研究熱心な彼は、これまでXO醤ラーメンなども提供したことがある。

「Gaku Robata Grill」では注文の約6割を豚骨ラーメンが占める。犬飼さんによると、昔は豚骨ラーメンはあまりなく、シドニーに登場し始めたのは7~8年前からだという。ちなみに博多豚骨の「一風堂」がオーストラリア・シドニーに初上陸したのは2012年のこと。現在はシドニー4店舗、メルボルン、パースと豪州7店舗を展開している。

「シドニーに一風堂が上陸したのが大きな波でした」と当時を振り返るのは、日豪プレス(Nichigo Press Australia Pty.Ltd.)の池口アイク社長。「シドニー在住の日本人がまずびっくりしました。『ラーメンが1杯17豪ドル(約1326円)もするの!?』と。でも納得。街場のラーメン店という感じではなく、おしゃれなダイニングスタイルで、ワイングラスなど取りそろえたゴージャスな店構えだったから。一風堂がラーメンの価値を上げたのだと思います」。(池口さん)

同社は77年創業のメディア企業で、オーストラリア在住日本人向けメディア「NICHIGO PRESS」や、訪日オーストリア人のための英字媒体「jStyle」などを発行している。2年前には、これまでの日豪両国の関係促進の功績がたたえられ「平成29年度外務大臣表彰」を受賞した。日豪に関係するあらゆる情報を発信している同社だが、ラーメンに関しては2013年7月から定期的に特集を組み、ラーメンブームの最新情報を届けてきた。

オーストラリアに約30年間も滞在し続けている池口社長によると、「一風堂が初上陸した翌年くらいからラーメン人気はずっと右肩上がり」。その要因はいくつか考えられるが、オーストラリア在住の中華系の人々の存在が欠かせないと説明する。

日豪プレスではシドニー市内でラーメン・ツアーを毎年実施している。ラーメン店リストを冊子やWEBで見られるようにして、一般ユーザーに来店コメントを投稿してもらい、約1カ月間で全店を制覇した人の中から優勝者を決めていくというものだ。優勝者には日本行きの航空チケットも贈呈されるので、毎年多くの人が参加する。

池口社長は「コメントを投稿するのは日本人よりも、オーストラリア人よりも、実は中華圏の人々の方が多いのです。ラーメンはシドニー在住の20代中国人のカルチャーになっているようです」と話す。「白人だけの社会ではこんなにラーメンが流行らないのでは?」と池口さん。

もともと麺料理になじみがある中国人が、高級なすしや天ぷらとは違った、カジュアルな和食としてラーメンを楽しんでいるという。すしなら日本で食べた方がおいしいが、ラーメンはシドニーでも日本と同じクオリティーが楽しめる、というのも要因だという。

豚骨を主流とした10~15豪ドル(約780~1170円)のラーメンはもう出つくした感があり、最近では「Gaku Robata Grill」のような昼はラーメン&夜は居酒屋の二毛作業態が増えてきている。シドニーで有名な日系の飲食企業といえばMASUYA INTERNATIONAL (鱒屋インターナショナル/Masuya International Consulting Pty. Ltd.)だが、今年3月12日にオープンした同社の新店舗「満」もラーメンと居酒屋の二毛作業態となっている。

シドニーには和牛ラーメンだけでなく、1杯約2000円もするロブスター・ラーメンもあれば、「Gaku Robata Grill」のカモユズ・ラーメンのような個性的な和風ラーメンも存在する。さらに、オーストラリアでは珍しいつけ麺や味噌ラーメンなども登場してきており、「今後はラーメン人気がさらに細分化されてくるだろう」と池口社長。パスタのような日常食の一つとして浸透してきているようだ。

また、健康志向の強いシドニーでは、「ベジタリアン・ラーメン」というニューウェーブも出てきている。「Gaku Robata Grill」の犬飼さんも、現在、コンブをベースにオリーブやトマトを加えた、肉・魚を一切使わないベジタリアン・ラーメンを開発中。煮卵のトッピングをしなければ、ビーガンも楽しめるラーメンだ。

すしは和食の代表格だが、オーストラリアのすし店の多くは韓国企業が経営しているという。「現在は日本企業が経営しているラーメン店が多いが、資本力のある中国などのアジア系の企業が今後、ラーメン店を展開することもあるかもしれない」と池口社長。

もはやRAMEN(ラーメン)は世界共通語。日本ではラーメン・イベントが頻繁に開催され、日本のラーメン・ファンはいつも熱いが、シドニーのラーメン・ファンも負けないくらい熱いのかもしれない。いつか海外から人気のラーメンが逆輸入される日がくるかも。世界のラーメン動向から目が話せない。

*1豪ドル78円で換算

(GreenCreate)

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