powered by 大人のレストランガイド

つけ麺にA5和牛のトッピング 豪州ラーメン最新事情

左が犬飼春信さん、右が花倉嗣文さん フレンチ出身のシェフ2人でラーメンを開発

ちなみに犬飼さんはもともとはフレンチのシェフ。1994年、東京・恵比寿の有名フレンチ「タイユバン・ロブション」の立ち上げメンバーとして入り、97年シドニーに渡ってからは「The Observatory Hotel(ザ オブザバットリー ホテル)」の五つ星フレンチ「Galileo(ガリレオ)」で調理長を5年務め、米国ビル・クリントン元大統領に料理を提供したこともあるスゴ腕シェフ。料理の鉄人のフレンチ・坂井宏行シェフとコラボしたこともある。

なぜ彼はフレンチからわざわざラーメンに転身したのか? 「実は調理技法が少し似ているんですよ」と犬飼さん。例えばフレンチではソースを作る時に、肉の骨に香味野菜などを加えて焼くが、その時に出るうま味エキスは、ほかのいろいろなソースにも加えることでうま味を高める。ラーメンでも肉骨や香味野菜を煮込んでクリアなスープを作るが、その途中で取り除く肉脂エキスは、様々なラーメンに加えることでうま味を強化するのだ。フレンチの技法が同店のラーメンには生かされている。

もともと麺やラビオリなど麺類を作るのが好きだった犬飼さんによると、「むしろラーメンの方がフレンチより難しい」のだとか。「フレンチは後からソースに赤ワインを加えて味の調整をすることもできますが、ラーメンはレードルでタレを計り入れ、スープを注いだらそこで味が決まってしまう。後からやり直しがきかない。一発勝負!」。

犬飼さんは今、ラーメンの可能性は無限大だと感じている。「80代の年配のお客様までわざわざラーメンを食べに来てくれます。これは日本でも見ない光景。すごいことです!」と犬飼さん。ちなみにとても研究熱心な彼は、これまでXO醤ラーメンなども提供したことがある。

シドニーにある「IPPUDO WESTFIELD」 カウンター席にはワイングラスなども飾られている

「Gaku Robata Grill」では注文の約6割を豚骨ラーメンが占める。犬飼さんによると、昔は豚骨ラーメンはあまりなく、シドニーに登場し始めたのは7~8年前からだという。ちなみに博多豚骨の「一風堂」がオーストラリア・シドニーに初上陸したのは2012年のこと。現在はシドニー4店舗、メルボルン、パースと豪州7店舗を展開している。

「シドニーに一風堂が上陸したのが大きな波でした」と当時を振り返るのは、日豪プレス(Nichigo Press Australia Pty.Ltd.)の池口アイク社長。「シドニー在住の日本人がまずびっくりしました。『ラーメンが1杯17豪ドル(約1326円)もするの!?』と。でも納得。街場のラーメン店という感じではなく、おしゃれなダイニングスタイルで、ワイングラスなど取りそろえたゴージャスな店構えだったから。一風堂がラーメンの価値を上げたのだと思います」。(池口さん)

同社は77年創業のメディア企業で、オーストラリア在住日本人向けメディア「NICHIGO PRESS」や、訪日オーストリア人のための英字媒体「jStyle」などを発行している。2年前には、これまでの日豪両国の関係促進の功績がたたえられ「平成29年度外務大臣表彰」を受賞した。日豪に関係するあらゆる情報を発信している同社だが、ラーメンに関しては2013年7月から定期的に特集を組み、ラーメンブームの最新情報を届けてきた。

オーストラリアに約30年間も滞在し続けている池口社長によると、「一風堂が初上陸した翌年くらいからラーメン人気はずっと右肩上がり」。その要因はいくつか考えられるが、オーストラリア在住の中華系の人々の存在が欠かせないと説明する。

メールマガジン登録
大人のレストランガイド
メールマガジン登録
大人のレストランガイド