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著者に聞く 仕事の風景

部下に振って、巻き込む プレイングマネジャーの極意 『プレイングマネジャーのルール』小池浩二氏

2019/5/22

望ましいリーダー像は、時代ごとに変わる。マンパワーを生かした営業力が効果を上げてきた時代には、チームを鼓舞するワンマンタイプが求められた。しかし、今では「カリスマ的リーダーはチームに必要なくなりつつある。現在はリーダーイメージの移行期。新リーダーの条件は『人の話を聞ける人』だ」と、小池氏は指摘する。

■「手を動かす」から「頭を働かせる」へ

仕事を分かち合う際、プレマネの決断を鈍らせるのは旧来型リーダーのありようだ。人事に象徴される権限を一手に握り、情報の独占でステータスを保って上から目線の物言いでメンバーを動かす。こういった古い振る舞いのリーダーは権限や情報を分かち合わないことによって、自らのポジションを保っていた。

メンバーとの分かち合いは、リーダーの権威やありがたみが薄れるという副作用を伴う。そう考えてしまうと分かち合いに後ろ向きとなりやすい。しかし、小池氏は「孤立してしまうと成果が出せず、やがて立場を失う。業務のシェアはリーダーの座を守る意味もある。表面的なプライドは邪魔だ」と、新リーダー像への脱皮を求める。

手持ちの業務を譲ったからといって、プレマネ本人が暇になるわけではない。むしろ、成長戦略の担い手として、企画や提案を求められる立場になる。負担は軽くならないが、「自らの発想が収益につながれば、高い評価を得られる。さらなる出世のためにも、思考の『余白』を生み出す必要がある。分かち合いはその前提となる」(小池氏)。「手を動かす」のではなく、「頭を働かせる」という方向へ、仕事のデザインを見直すわけだ。

■収益よりも「まず健康」

管理職である以上、増えた時間を使って「人の育成」という、重要な仕事も期待される。企業の力は「ヒト・モノ・カネ」から生まれた時代を経て、今や「ヒト・ヒト・ヒト」が企業の資産になりつつある。「チームメンバーを育てないリーダーは存在しえない。『プレーヤー業務が忙しくて』などという言い訳は通らない」(小池氏)。部下の能力を引き出すうえでも、分かち合いがもたらすチャレンジの機会は貴重となる。

ただ、本人がどれぐらいの仕事を部下に割り当てればよいのかは、見極めがつきにくい。小池氏はケース・バイ・ケースを前提にしたうえで、「手持ちの6割を残して、4割を任せるつもりで、業務を切り分けてみては」と助言する。抱え込んできた仕事を手放すと、業務の透明性も高まる。自分が評価者の場合、チェックが甘くなりやすい。「1人PDCAはまずい。実務者と評価者を分けるのは、生産性向上やコンプライアンス確保に役立つ」(小池氏)

パフォーマンスや収益も大切だが、もっと大事なのは本人の健康だ。「燃え尽きてしまうプレマネをたくさん見てきた。大半は働き過ぎ。分かち合いを使って、体を守ってほしい」という小池氏の言葉は、あまりにリアルだ。

小池浩二
マイスター・コンサルタンツ代表主席コンサルタント。中小企業専門の経営コンサルタントとして1997年に創業。1000社以上の経営診断、経営顧問、研修に携わる。プレーイングマネジャー育成の独自メソッドも提供。著書に『プレイングマネジャーの仕事』があり、姉妹版の本書は実践・技術編となる。

プレイングマネジャーのルール

著者 : 小池 浩二
出版 : あさ出版
価格 : 1,620円 (税込み)

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