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数千度の「熱い氷」を初撮影 巨大惑星の謎に迫る

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ナショナルジオグラフィック日本版

南極の海から家庭の冷凍庫まで、地球上にある氷はほぼ同じタイプだが、遠く離れた惑星では極端な温度と圧力によって、奇妙で多様な氷が形成されている。研究者はこのほど、新しい種類と見られる氷のX線画像を撮影することに成功した。「超イオン氷」という導電性の高い氷だ。2019年5月8日付けで学術誌『ネイチャー』に発表された論文によると、この氷は、太陽の表面温度の半分ほどの高温と、100万~400万気圧という高圧下で存在する。

「数千度という温度ですが、間違いなくこれは氷の話です」と、研究チームを率いた米ローレンス・リバモア国立研究所の物理学者マリウス・ミヨー氏は言う。

これだけの高温・高圧条件が地球上で自然にそろうことはないが、天王星や海王星といった、大量の水がある巨大惑星の深部では可能だと考えられる。これらの惑星は独特の磁場を持っており、その起源は謎に包まれている。今回の発見は、その謎を解く鍵になるのではないかと期待されている。

18番目の氷

水の結晶構造は、すでに17種類も知られている。そして今から30年以上も前に、水に非常に高い圧力をかけると超イオン氷ができることが予想されていた。

一般に超イオン導電体は、固体と液体の性質を兼ね備えている。結晶格子を作るのは固体と同じでも、その間を液体のように、電荷を運ぶイオンが自由に流れる。今回のように、水(H2O)の超イオン氷では、酸素の結晶格子の間を水素イオンが飛び回っている。

「物質の状態としては非常にエキゾチックです」と論文共著者で同研究所所属のフェデリカ・コッパリ氏は言う。

2018年、ミヨー氏とコッパリ氏らは、ダイヤモンドアンビルという装置とレーザーによる衝撃波を使って水を圧縮し、数ナノ秒(ナノは十億分の1)の間だけ氷にすることに成功した。氷になっている間は導電率が数百倍になっていて、超イオン氷であることを強く示唆していた。

その後の最新の研究では、6基の大型レーザーを使って連続的に衝撃波を発生させ、薄い水の層に数百万気圧の高圧と1700~2700℃の高温を与えて氷にした。正確なタイミングでX線を照射して測定したところ(これも数ナノ秒しか持続しない)、酸素原子が確かに結晶構造をとっていることが明らかになった。

酸素原子は、面心立方格子(立方体の8つの頂点と6つの面の中心に原子がある形)という高密度の配置になっていた。氷の結晶がこのような構造をとっているのが確認されたのはこれが初めてだ、とコッパリ氏は言う。研究チームは、この新しい18種類目の結晶構造を「氷XVIII」と呼ぼうと提案している。

第三者である米プリンストン大学の物理学者ロベルト・カー氏は氷が超イオン化しているかどうかについて、さらなる研究が必要としながらも、水の結晶構造の多様性を示す重要なものだと評価している。「これほど多様な形をとることができる水という物質には、本当に驚かされます」

磁気の謎

今回の成果は、天王星と海王星の解明に役立つ可能性がある。「巨大氷惑星」とも呼ばれるこれらの惑星は、約65%が水で、ほかにアンモニアやメタンなどでできており、内部は地球の地殻やマントル、コアと同じように層状になっていると考えられている。

つまり、天王星と海王星には超イオン氷の層があり、それが地球のマントル(固体の岩石からなり、非常に長い地質学的タイムスケールで流動している)のようにふるまっていることを、今回の実験結果は示唆している。そう考えることで、天王星と海王星の独特な磁場もうまく説明できる可能性がある。

地球や木星、土星の磁場は、惑星内部の導電性流体の運動によって作られると考えられている。これらの惑星の磁場による磁気の流れは、惑星の自転軸とほぼそろっていて、あたかも惑星に挿した棒磁石から発生しているように見える。

これに対して海王星の磁場の方向性は、自転軸から大きく傾いており、地理的な南北両極と赤道の真ん中あたりに磁極がある。天王星の磁場はさらに奇妙で、地理的な南北両極から大きく傾いているだけでなく、磁極は球の両端になく、ずれている。どちらの惑星の磁場も不安定だと考えられている。

ミヨー氏は、天王星と海王星の超イオン氷の層の上に、これもまた導電性が高い液体の層があるのではないかと提唱している。両惑星の磁場は、ここで生じている可能性があるという。ほかの惑星に比べるとかなり浅い場所で磁場が発生していることが、その不安定性の原因なのかもしれない。近年、海王星や天王星サイズの系外惑星が多数発見されているため、今回の知見は、はるか彼方の惑星にも適用できる可能性がある。

(文 Adam Mann、訳 三枝小夜子

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年5月10日付]

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