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わかりやすく手数料も安い 初心者は指数連動型で 投資信託の基礎(中)

2019/5/19

写真はイメージ=123RF

ある週末の昼下がり。筧家のダイニングテーブルでは昼食を終えた良男と幸子がお茶を飲みながらくつろいでいます。ソファでタブレット端末をいじりながら、ジュニアNISAの運用成績をチェックしていた満。なにやら難しい顔をしてため息をついています。

筧(かけい)家の家族構成
筧幸子(48)良男の妻。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。
筧良男(52)機械メーカー勤務。家計や資産運用は基本的に妻任せ。
筧恵(25)娘。旅行会社に勤める社会人3年目。
筧満(15)息子。投資を勉強しながらジュニアNISAで運用中。

筧満 ジュニアNISAの口座で応援したい企業の株式を運用してるけど、今月になって12%も下がってしまった。やっぱり長期投資には投資信託の方が向いているかな。この前、投信の仕組みについて教えてもらったよね。投信ってすごく数が多いから、選べないよ。

筧幸子 一般に募集する公募投信は6000本以上あるの。どれを買うかを選ぶには投信の種類を知らないとね。まず、運用手法によって「インデックス型」と「アクティブ型」に大別できるということを覚えてね。

 聞き慣れない言葉だね。

幸子 インデックス型は日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といった株価指数のほか、債券の指数などに連動する運用成果を目指す投信よ。日経平均連動型の投信であれば、日経平均の構成銘柄に選ばれている企業に投資するの。良い銘柄、悪い銘柄といった選別はせず、機械的に銘柄を選ぶのよ。

 じゃあアクティブ型は?

幸子 市場平均を上回る運用を目指す投信よ。株式市場全体の値動きを示すTOPIXを上回る成果を目指す投信などがあるわね。プロの運用者であるファンドマネジャーが企業や経済動向を分析して投資先を選ぶの。うまくいけば市場平均を上回る利益を得られるけど、失敗すれば市場平均よりも成績が劣ってしまうこともあるわ。

筧良男 なるほど。で、結局どっちがいいのかな。

幸子 投資の目的にもよるけど、長期投資で、かつ投資の知識にあまり自信がない人であればインデックス型を選ぶ方がよいといわれることが多いわね。指数の動きを見ていれば運用成果をざっくりと把握できるから、わかりやすいというのが利点ね。今度詳しく説明するけど、手数料もアクティブ型より低めなのよ。アクティブ型は投信の良しあしを見極める「目利き力」が必要になるから、初心者には少しハードルが高いかも。

まだまだ投資の勉強中の僕には、インデックス型投信の方が向いているようだね。

幸子インデックス運用なら、市場で売買できる上場投資信託(ETF)という選択肢もあるわよ。株式と同じように、取引時間中はいつでも売買できるという利点があるの。ただ、NISA口座は商品を売却すると、その枠は再利用できないから注意が必要ね。

 投資先は株や債券のほかにどんな種類があるんだろう。

幸子 株式型や債券型はもちろん、オフィスやマンションに投資する不動産投資信託(REIT)型、複数の種類の資産に分散投資するバランス型などがあるのよ。投資対象の地域も決まっていて「国内株式型」「グローバル(世界)債券型」などといった呼び方をすることが多いわね。

良男 今、主流なのはどのタイプか知りたいな。

幸子 日興リサーチセンターによれば、資産の時価総額を示す純資産総額(追加型公募株式投信、ETF除く)は4月末時点で「グローバル株式型」が約19兆円と規模が大きいわね。米国を中心に世界の株価が上昇したことなどが影響して、2016年秋以降から大きく伸びているわ。規模は小さいけどバランス型も増えている。逆に「グローバル債券型」は減少傾向ね。投信がどのタイプに該当するのかを確認するには目論見書を見るといいわ。

 投信の売れ行きには潮流があるんだね。

幸子 主要先進国の国債などに投資する「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」という商品が人気を集めた時代があったわね。純資産総額は08年に6兆円に近い規模まで膨らんだけど、いまでは低金利の影響で4000億円台にまで減少したわ。運用で得られた利益の一部を投資家に還元する「分配金」を毎月払い出すタイプだったことも、投資家離れを招く一因になったの。

良男 「毎月分配型」というやつだね。売れ行きが良くないという記事を読んだよ。

幸子 毎月分配型は運用益を再び投資に回して資産を増やす「複利効果」が得られにくいし、分配金の水準を保つために元本を取り崩す例もあるので、「長期投資に向かない」という声が増えているわ。17年からREIT型の純資産総額が大きく減っているけど、これはREIT型の主力投信が毎月分配型だったという事情があるの。

 トレンドも押さえておきたいな。最近の人気は?

幸子 ここ数年はロボットや人工知能(AI)、自動運転車などの次世代技術の関連企業に投資する投信の人気が上昇しているわね。特定の分野に投資するから「テーマ型」と呼ばれているの。

良男人気は続くのかな。

幸子 どうかしら……。ドイチェ・アセット・マネジメント資産運用研究所所長の藤原延介さんは、最近の動向について「投資家の資金の流入が減速してきている」と話しているわ。今後成長が期待できそうな分野ではあるけど、一過性のブームに終わる危険性もあるので、投資のタイミングが難しいことを頭に入れておいてね。

■分散投資でリスク低減を
三菱アセット・ブレインズ ファンドアナリスト 標陽平さん
長期投資をする上で大切なのは「分散投資」という観点です。資金を国内株式にだけ投じていると、運用成績が日本の株式相場の変動に大きく左右されます。国内外の様々な資産に分散投資することで、価格変動リスクを抑えながら、安定的な運用ができるようになります。
分散投資の考え方を具体化したのがバランス型投信です。投資経験が浅い人にとって、資産配分の比率を考え、組み合わせて運用するのは難しいでしょうが、バランス型投信であれば簡単に国内外の株式や債券など、複数の資産を組み合わせた運用ができます。運用リスクを取りやすい若年時は株式比率を高め、年齢を重ねるにつれて自動的に株式比率を抑えて債券などの比率を高める「ターゲットイヤー型」と呼ばれるバランス型投信を活用するのも手です。
(聞き手は川上純平)

[日本経済新聞夕刊2019年5月15日付]

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