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いきいき職場のつくり方

新人の5月病どう防ぐ 「けちなのみや」でチェック 産業医・精神科専門医 植田尚樹氏

2019/5/18

あるメーカーの工場では、集団分析で非常に悪い結果が出ました。そこで職場の責任者が一念発起。部下たちに意識して声がけしたり、気軽に相談に乗ったりしたところ、わずか1年で判定が劇的に好転したそうです。ストレスチェックとは異なり集団分析は義務ではありませんが、その意義を十分に理解して、活用すれば大きな効果が期待できるはずです。

メンタル不調の問題のひとつに、本人が自身の症状になかなか気づかないという点があります。まず気をつけてほしいのが不眠です。次に仕事でミスが増えていないか、人の話を聞いて頭に入ってくるか。こうした症状がある場合は放置してはいけません。周囲に相談したり、医師に診てもらったりしてください。

■けちなのみや

周囲が早くから兆候をキャッチしてあげることも大切です。同僚の不調を捉えるための標語「けちなのみや」をご存じでしょうか。

「欠勤が多い」「遅刻が多い」「泣き言をいう」「能率が悪い」「ミスが多い」「辞めたいと言い出す」――の頭文字をとったものです。

この6つのポイントに注意を払えば、比較的早期に対応することができるでしょう。ただ、最近はフレックス制や裁量労働制の採用が増えているので、以前とは異なり勤務実態が把握しづらいという問題もあります。

最後に部下や同僚の相談に乗るときの注意点です。

まず相談に応じるのは、自身が十分な時間を確保できるときにしてください。相談時間が短かったり、不十分であったりすると、「取りあえず、お座なりに処理された」と受け止められかねず、不信を招く恐れがあります。十分に時間をとり、ゆっくり話を聞いてあげることが必要です。

■「でもね」「だけどさあ」は厳禁

相談の際は自らの主観を挟まぬように注意してください。「でもね」「だけどさあ」などと口にしてはいけません。相手が何が言いたいのか、何を伝えたいのか、耳を傾けてください。相談を持ちかけられた人間が主張する場ではないのですから、「傾聴」する姿勢を忘れないでください。

相談の結果、結論や解決につながらなくても、不安や悩みを言葉にすることで考えが整理され、不安が軽減される「カタルシス効果」も期待されます。

いずれにせよ、必要とされるのは上司、同僚、部下と気軽にコミュニケーションがとれ、困ったときには互いに協力し合える職場づくりです。まず第一歩として、声をかけあい、あいさつをすることから始めてはいかがしょうか。そうすることで、一体感や安心感が増すなどして、職場の雰囲気も変わってくるはずです。

※紹介したケースは個人が特定できないよう、一部を変更しています。

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植田尚樹
1989年日本大学医学部卒、同精神科入局。96年同大大学院にて博士号取得(精神医学)。2001年茗荷谷駅前医院開業。06年駿河台日大病院・日大医学部精神科兼任講師。11年お茶の水女子大学非常勤講師。12年植田産業医労働衛生コンサルタント事務所開設。15年みんなの健康管理室合同会社代表社員。精神保健指定医。精神科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。

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