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インバウンド最前線

訪日客の忘れ物、年1千万個以上? 海外返送が負担に

2019/5/29 日本経済新聞 朝刊

オー・エス・エスが国際発送業務を請け負う訪日外国人の忘れ物(5月13日、大阪市西区)

訪日外国人(インバウンド)の急増に伴い、ホテルやレンタカーの忘れ物が問題になっている。スマートフォン(スマホ)や衣類、食料など種類や大きさは様々。海外の持ち主と連絡を取ったり、発送の手続きを取ったりする作業は煩雑で、担当者を悩ませている。

インバウンドでにぎわう大阪の繁華街・ミナミ。アジアからの宿泊客が多い「ホテル・ザ・フラッグ」(大阪市中央区、部屋数162)では4月上旬、チェックアウトを済ませた客室から集められた忘れ物が、フロントに山積みになっていた。

この日は衣類や化粧品など約10点。副支配人の大安龍彦さん(40)は「多い日は抱えるのが大変なほど」とこぼす。中にはスマホや時計などの貴重品もある。

宿泊先名簿をもとに持ち主に連絡し、希望があれば先方が費用を負担する条件で送り返す。週に2~3件は海外への配送希望があるという。「旅行サイトでの評価につながるため、可能な限り丁寧な対応を心がけている」(大安さん)という。

レンタカーで忘れ物が見つかることも多い。関西国際空港内にある「タイムズカーレンタル」では、訪日客の忘れ物で保管用の棚が埋まる。担当者によると、帰国便の出発時刻ギリギリに空港に到着する旅行者が多く、焦って車内に落としてしまう客が目立つという。

こうした事業者を悩ませるのが、複雑な海外発送手続きだ。配送品の重量などを確認する必要があるほか、スマホやデジタルカメラなどリチウム電池を含む製品は一度に発送できる数量が限られるなど、品物によって細かな規定がある。

また、国内なら着払いで送ることができるが、海外発送で着払いに対応する運送業者は少ないという。「返却時には客に送料を海外送金してもらっている。1件ごとに時間がかかり、本業の負担になっている」と話すホテル関係者もいる。

こうした悩みに目をつけたサービスも広がりを見せている。大阪市の物流管理会社「オー・エス・エス」は2017年10月、忘れ物などの発送業務を請け負う「忘れ物国際発送サービス」を始めた。同社が海外の客とメールで連絡を取り、オンライン決済で直接送料を請求する仕組みで、施設側の費用負担はない。

同社の試算では、全国の宿泊施設で外国人宿泊客が残した忘れ物は、年間1千万個以上。同社の契約先は19年3月時点で全国の千施設を超えており、毎日数十個の発送を請け負っているという。

(札内僚)

[日本経済新聞朝刊2019年5月14日付]

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