自筆遺言の負担が減った 財産目録、通帳のコピーも可弁護士 志賀剛一

写真はイメージ=PIXTA
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Case:56 亡夫が残してくれた不動産や預金があります。3人の子どもたち同士があまり仲良くないので、遺言を作成しておこうと思います。最近、法律の改正で遺言がつくりやすくなったと聞きました。わかりやすく教えてください。

被相続人本人が書いたものかどうか

元号が変わり令和の世となりました。実は2018年7月に民法の相続に関する規定(相続法)が大幅に改正され、そのうち自筆証書遺言の方式緩和は、まだ平成だった19年1月13日からすでに施行されています。「遺言がつくりやすくなった」というのはこの改正のことだと思います。

このコラムのCase:11「ワープロ、日付なしはNG 遺言が無効になるケースは」で説明したように、民法は「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と定め、法律で厳格な方式が決められています(「要式性」といいます)。

父親が死亡した後、仮に名前も含め全文がワープロ打ちで、三文判が押してある父親の遺言書を一部相続人から見せられ、そこに「○○(一部相続人)にすべての財産を相続させる」とワープロの文字で印刷されていても「それが本当に被相続人の意思なのか?」「これは親父が書いたのか?」と、他の相続人は疑問に思うでしょう。

しかし遺言は、その効力が発生するときには意思の表示者が亡くなっているため、真意を確認できません。自筆なら筆跡などで本人が書いたものかどうかをある程度確認できるし、加筆修正もしにくいので変造防止にもなります。自筆証書遺言について民法が「全文、日付及び氏名」の自書を要求しているのは、そういう意味があります。

すべてを自書、遺言者には負担

遺言者が、遺言で特定の財産を特定の相続人に相続させたい場合などは、その財産が特定できる事項を記載しなければなりません。財産が不動産であれば所在地・地目・地番・地積など、不動産登記簿に記載されたとおりに正確に書く必要があります。