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カリスマの直言

長期化する米中摩擦 世界株上昇は変わらず(藤田勉) 一橋大学大学院特任教授

2019/5/20

ただし以下の理由から、中国制裁によって世界の株式相場が大きく崩れることはないと筆者はみている。第1に米国経済の規模(国内総生産は国際通貨基金の2019年予測によると約2300兆円。中国は約1600兆円)に対して、対中輸入金額は約60兆円、対中輸出金額は約20兆円(18年)と規模が小さい。このため、部分的に影響は大きいだろうが米国経済全体に対しての影響は限定的であろう。

■再選にらむトランプ氏、緻密に計算か

トランプ大統領の戦略目標は20年の大統領選で勝利することであると思われる。中国を過度にバッシングすれば、世界経済と金融市場が大きなダメージを受け、自身にとっても大きなマイナスとなりかねない。このため制裁実施に当たって、米国経済に対して決定的なダメージが生じないように綿密に計算していると思われる。

第2に株価急落時には米連邦準備理事会(FRB)が大胆な金融緩和を実施し、株価の下支えをするだろう。18年12月にパウエルFRB議長は利上げを実施し、更に19年に2回利上げする方針を示した。これに対してトランプ大統領は厳しく批判し、一時はパウエル議長解任検討との報道があった。その後、トランプ大統領と金融市場の圧力に屈する格好でパウエル議長は利上げ停止を表明し、そして利上げを撤回した。株価が今後急落する局面ではトランプ大統領がおそらく再度強力な圧力をかけ、パウエル議長はそれに従い利下げする可能性が大きい。

第3に中国経済は大型の景気対策が発動されるため大きく崩れることはあるまい。すでに中国政府は預金準備率引き下げなどの金融緩和、減税などの財政政策を発動している。必要があれば、追加で大規模な景気対策を実施するであろう。

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