地球にやさしいから斬新 「正しい」おしゃれの磨き方宮田理江のおしゃれレッスン

ファッションブランドも注目 環境にやさしい素材で表現力もアップ

マックスマーラとのコラボレーション

耐久性が求められる自動車シートでは、十分な厚みや張りを出しているアルカンターラですが、ファッション素材としてはもっと薄くてしなやかに加工しています。イタリアの有力ブランド「MAX MARA(マックスマーラ)」とのコラボでは、コート風ワンピースがきれいなドレープを帯びた自然体のムードを表現していました。

アンドレア インコントリとのコラボレーション

さらに人工皮革の可能性を広げて見せたのがイタリアブランドの「ANDREA INCONTRI(アンドレア インコントリ)」です。蛇革風の模様をプリントして、コートやスカートを仕立てました。実際の蛇革では、こんなに面積の広い衣服は仕立てにくいはずですが、アルカンターラ素材を使えば、可能になります。このようにアルカンターラはサステナビリティーと表現力アップの一挙両得につながっているわけです。

蛇革風の模様をプリントしてコートやスカートを仕立てる

現代の消費者にとって、環境保護やコンプライアンス(法令順守)、社会貢献などの「大義」は、商品を買う動機付けにもなっています。地球を痛めつけたり、労働者を搾取したりするようなブランド・企業の商品を買いたくないという気持ちは、ますます広がりつつあります。自分がまとう服の成り立ちに納得感を求める感覚は食品のトレーサビリティー(生産履歴の追跡)に近くなってきたようです。

こうした消費者マインドの強まりを背景に、ブランド・企業側は進んで自分たちのポリシーや取り組みを公開するようになってきました。たとえば、アルカンターラ社は独自の「サステナビリティ・レポート」を毎年、発表しています。イタリアのブランド・企業ではかなり早い09年に、地球上の二酸化炭素を増やさない仕組みを実現したことを証明する「カーボンニュートラル」認証を取得。トウモロコシの葉・茎やサトウキビの廃糖蜜など、再生可能な資源を原材料に使い、20年までにバイオ原料だけを使う生産を目指す目標を設定しました。これらの活動も「サステナビリティ・レポート」に明示されています。

アートを支援するプロジェクトで、アートも持続可能に

ローマ市の「MAXXI 21世紀芸術国立美術館」で開催された「フォルマファンタズマ」の展覧会

取り扱うファッション商品の美しさだけではなく、経営の態度や企業としての振る舞いにも「美しさ」が求められるようになってきました。アートを中心とする文化への支援は、デザイン美を商品とするファッション企業にとって、事業との親和性が高いといえます。アルカンターラ社は以前から、たくさんのアート支援プロジェクトを立ち上げてきました。19年3~4月にローマ市の「MAXXI 21世紀芸術国立美術館」で開催された展覧会もサポート。アルカンターラをアート素材に生かした作品が展示されました。

デザインスタジオ「フォルマファンタズマ」のシモーネ・ファレジン氏(左)とアンドレア・トリマルキ氏

国際的なデザインスタジオ「Formafantasma(フォルマファンタズマ)」は鉄パイプで足場を組んで、建設現場のようなインスタレーション作品を制作。アルカンターラ素材は写真や絵を写し込むキャンバスのような使われ方をしていて、アート作品に違和感なく溶け込んでいます。フォルマファンタズマのシモーネ・ファレジン氏とアンドレア・トリマルキ氏の2人は「自由自在に加工しやすい素材だから、いろいろな表現を試せる」と、アート素材としてもアルカンターラを高く評価。アート支援の取り組みを長く続けていることにも敬意を示していました。

フォルマファンタズマの作風は古今の文化をクロスオーバーさせるところが持ち味。今回の作品も建築の歴史をベースにしています。先端アートを支援するアルカンターラ社のアプローチは、アートの歴史を未来へ向けて進める効果があり、その意味ではアートを持続可能にする活動とも映ります。つまり、アートのサステナビリティーに貢献するプロジェクトともいえそうです。

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