齋藤孝氏が指南 仏教に学ぶ「メンタルマネジメント」齋藤孝著 『齋藤孝の仏教入門』

悟りを求めたブッダの言葉をかみしめよう
悟りを求めたブッダの言葉をかみしめよう

新しい年度に入ってから1カ月半あまりがたった。友人や同僚からは「何となく体のだるさを感じている」という声をしばしば耳にする。特に今年のゴールデンウイークは10連休という長期の休みがあった。気分が晴れない「五月病」の時期はどうやって乗り切ればよいのか――。今回紹介する書籍『齋藤孝の仏教入門』には、仏教の教えを日々の生活に生かすためのさまざまな智恵が紹介されている。悟りを求めたブッダの言葉をかみしめて、ストレスの多い職場のメンタルマネジメントにも役立ててほしい。

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齋藤孝氏

著者の齋藤孝さんは、明治大学文学部教授です。1960年に静岡県に生まれ、東京大学法学部を卒業。その後、同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。著書に『身体感覚を取り戻す』などがあります。

誰でも「悟り」は開ける

「冠婚葬祭でお世話になることはあるが、日ごろから身近なわけではない」というのが、多くの人にとっての仏教のイメージではないでしょうか。著者は仏教の教えを「究極かつ普遍的なストレス・マネジメント術」と主張します。ストレスがたまるのが当たり前の世の中で、いかに自分でそのストレスに向き合い、対処するかが健全な精神を保てるか否かの分かれ道になるのです。

「神にすがるより、自らの力で歩め」というのが、ブッダの基本的な考え方だったのである。
言い換えるなら、誰でもブッダのように“悟り”を開くことができる、ということだ。それはブッダが生きた時代の人々であれ、現代人であれ変わらない。
(はじめに 11ページ)

「忙しさ」が体をむしばむ

「誰もが携帯電話やスマホを持ち歩くようになり、仕事はもちろんプライベートでも、一日単位で処理すべき情報量が圧倒的に増えている」と著者は指摘します。かつては、手紙や実際に会う中でのコミュニケーションが主でした。しかし、今では「いつでもどこでも誰かとつながっている」のが当たり前になっています。

こうした「忙しい日常」には大きな落とし穴があります。人間は忙しいことで、苦痛を感じます。その一方で、「スケジュールを予定で埋め尽くし、働いていないと不安だというワーカホリックな状況に陥っていないか」と著者は指摘します。ワーカホリックはやがて、体調を崩すか、あるいは精神に支障をきたすかという状態に行き着く可能性があります。

〈「わたしはこれをなしとげた。これをしたならばこれをしなければならないであろう。」というふうに、あせくせしている人々を、老いと死が粉砕する。〉(『ブッダの真理のことば 感興のことば』中村元訳、岩波文庫)
(中略)忙しさに充実感を見出すことは、けっして悪いことではない。しかし、どれほど忙しくしたところで、老いと死には勝てない。私たちは、その虚しさを受け入れる必要がある。
(第1章 忙しい人ほど仏教が必要だ 44ページ)
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