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インバウンド最前線

富良野にも外国マネー流入 第2のニセコになるか

2019/6/4 日経MJ

タイ人のソムチャイさんとシリラットさんは富良野での春スキーを満喫(4月、北海道富良野市のスキー場)

テレビドラマ「北の国から」で知られる北海道富良野市。ドラマでは雄大な自然とそこに暮らす人々の営みが映し出されたが、近年は様相が違ってきた。ラベンダーが咲き誇る夏だけでなく、冬にもスキー目当てに訪日外国人(インバウンド)が殺到。世界的なリゾート地となったニセコ地区のように外国人投資家が土地を買い始めているのだ。

4月中旬、富良野市のスキー場では多くの外国人客が春スキーを楽しんでいた。タイ人カップルのソムチャイさん(32)とシリラットさん(29)は年末にニセコ、2月はキロロ(北海道赤井川村)でパウダースノーを満喫。春は富良野の中国人オーナーのペンションに滞在した。

旅館やペンションが立ち並ぶ富良野の「北の峰地区」で近年、異変が起きている。もともと夏がハイシーズンだったが、ウインタースポーツを求めて訪日客が急増している。30年前から営業する民宿「正直村」の笹木正春店主は「4~5年前から急激に外国人が増えてきた」と驚く。

外国人投資家の影も見える。北の峰地区の不動産登記を調べたところ、少なくとも50の外国資本が土地を取得していることがわかった。ニセコの地価高騰に味をしめた外国マネーがルスツ(同留寿都村)やキロロといった広域のニセコ圏だけでなく、富良野にも流入しているのは間違いない。

スキー場に隣接する土地でコンドミニアムの建設が進む(4月、北海道富良野市)

リゾート開発を手掛けるアンヌプリ・プロパティーズ(東京・港)の加藤将仁社長は「富良野はニセコと比べてグリーンシーズン(春から夏)も需要が安定し、通年で高い稼働が見込める」と解説する。外国人から富良野の問い合わせが相次ぎ、同社も今年2月に北の峰地区で土地を取得。「富良野が第2のニセコに化けるのを期待したい」(加藤社長)

正直村に隣接する土地も昨年、それぞれオーストラリア人とタイ人が相次いで取得したという。笹木店主のもとにも、コンドミニアム開発を手掛ける地元企業が「土地を売りませんか」と打診してきた。

大手が一括開発したルスツやトマム(占冠村)といった大規模リゾートと異なり、北の峰は西武グループが開発したスキー場の周りに小規模ペンションや民家が多く集まる。近年は後継者がおらず、ペンションを手放して市街地に引っ越す日本人オーナーが急増。その様子は1990年代のニセコの勃興期に重なる。

かつてはパウダースノーだけが自慢だったニセコには大小のホテルが次々と進出し、直近3年の地価も年2~3割のペースで高騰している。今年10月にはG20観光大臣会合が開かれる。会場の建設や電線の地中化工事が急ピッチで進む。

富良野でも中心部では10年に商業施設「フラノマルシェ」が開業。15年6月には「フラノマルシェ2」ができ、15年度の入場者は100万人を超えた。訪日客が増え夏の駅周辺は旅行客であふれる。夏の観光地として下地のある富良野がニセコ化し「通年リゾート地」として飛躍する日は意外と近いかもしれない。

(山中博文、荒川信一)

[日経MJ2019年5月13日付]

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