企業に買われる経営人材の共通点 必須の5つの力とは経営者JP社長 井上和幸

初動も非常に大事です。できる人ほど、スタート、取り掛かりが早い。これは実は思考力と相関関係が強いのです。考える力が高い人は、これ以上考えても仕方ない臨界点へ到達するスピードが早く、物事を展開させるには行動した方が早いことを知っています。合理的な人ほど腰が軽く、PDCAを回す力に長けています。

「そうは言っても、なかなかそこまでできないよ」――そう考える人もいるかもしれません。そんな人は「やり切る力」を鍛える方法として、まずは「いきなり最終ゴールを目指さないこと」を習慣づけてみましょう。大きなゴールは、小さいゴールにブレイクダウンします。例えば「月間売上●●万円」よりも「週間売上げ●●万円」のほうが、さらには「1日の営業件数●件」のほうがより具体的で、達成しやすいゴールです。

「やり切る」にはあまりにハードルが高いと思えるゴールであっても、こうした小さいゴールに細かくブレークダウンしていけば、達成しやすくなるのです。

「まとめる力」とはリーダーシップ力のことです。ビジネス上、一人でできることなど限られています。そもそも組織で行うビジネスとは「人を動かして、ことをなす」ことだと言ってよいでしょう。「まとめる力」が高い人が組織や事業を大成させます。

戦後世代の日本を代表する経営者には、この「まとめる力」がとにかく突出している人たちが多く見られました。それが戦後の日本経済を世界第2位までひきあげてくれたことは間違いありません。

その後、バブル崩壊を経て21世紀に入り、日本経済の停滞によってなのか、個の時代によるものなのか、この力は総じて日本人経営者・リーダー層で弱くなったという感が強いですね。平成はある意味、「まとめる力」の衰退期でしたが、令和のこれからは、改めて「まとめる力」の重要性が増してくると私は予想しています。

「問い」に答える「幹部人材」とは、特にこの「やり切る」と「まとめる力」の2つの力を発揮する人材です。

「経営人材」は「描く力(構想力)」と「決める力(決断力)」の「質×量×スピード」が問われる

「描く力」とは構想力のことです。まず、しっかりと自社の事業ビジョンや、個々のサービスの到達点、目指すべき姿を描けるかどうかが問われます。

できる経営者の人たちがよく口にするのが、「頭の中でくっきりと絵を描いて、それを社員や社外のステークホルダーに説明する」というフレーズです。これは「見えていないものは、成し遂げ得ない」という信念から出てくるものでしょう。

描く力を鍛えるには、鳥の目を持つことが一番。自分の2つ上ぐらいの役割になったつもりで、自分の仕事をとらえ直すことです。課長であれば事業部長クラス、部長であれば役員か経営者、若手であれば部長クラスの目になって、自分の立ち位置や仕事内容を俯瞰(ふかん)してみる癖を身につけたいですね。

もちろん、どのような立場であれ、究極は「社長の目」に立つことです。できる人は日々、社長の目から自社の事業や日々の業務を見てみましょう。部下にもこうした視点はぜひ持たせてあげてほしいと思います。

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