こうしてアイデアを積み重ねるうちに、徐々に方向性が定まってきた。「勉強や仕事の場所に置くものだから、物自体が主張し過ぎてはいけない。良い意味で癖がなく、親しみがあって、見て触れて、なごむ」というデザインを目指したという。そこで、猫や犬をはじめ、パンダ、クマといったなじみのある動物を採用。表情も、例えば目がキラキラしているようなキャラクター寄りにはせず、笑ってはいないけれど無表情でもない、自然な存在感とたたずまいを表現した。

「シリコーンはとても発色の良い素材で、色の自由度も高い。それも逆に苦労した点だ」と狩山氏は振り返る。「どんな色でも出せる」素材だけに、何が正解かを見極めるのが難しかったという。「毎日使う場面を想像すると、明る過ぎる色はまぶしく感じられるし、だからといってくすみ過ぎてもいけない。色についても、ちょうどよい存在感を目指した」(狩山氏)

プニラボは現在、ポーチやケース、マグネットなど商品ラインアップを18アイテムまで拡大。柔らかいシリコーン素材の柔らかな手触りを生かした、「連れて歩ける動物たち」のブランドとなっている
文具やコスメを入れられるファスナーポーチ(1400円)
コートなどを巻いて、そのまま貼り付けられるマグネットバンド(2本セット、550円)

ノートなどに取り付けられるブックバンドペンケース(900円)
ケーブルを挟んで貼り付けられるマグネット付きのケーブルホルダー(550円)

さらに、売り場での収まりの良さ、並べたときの色のバリエーション、店頭でのアイキャッチ、選ぶ楽しさといった点も考慮し、最終的にクマ、シバイヌ、クロネコ、ハチワレネコ、ブタ、パンダの6種類でスタートした。「顔を印刷する部分はドーム状の曲面になっている。印刷したときに正しい状態になるような顔を平面で描くのにも苦労した」

大人でも持てる「かわいい」グッズ

プニラボのスタンドペンケースは発売するや大ヒットになった。今では「当社の中で最も売れている商品だ」とリヒトラブ販売計画部課長補佐の陣内宏美氏は言う。好評により18年9月には新たにミケネコ、ボストンテリア、セキセイインコ、ペンギンの4種類を追加。ラインアップは10種類になった。

「一般的にキャラクターものはなかなかロングセラーにならない。時間がたつと飽きられる傾向があるが、プニラボは勢いが衰えない」と陣内氏は言う。その要因として「あまりキャラクター寄りにせず、落ち着いた存在感が、飽きられにくく大人にも受け入れられやすかったのではないか」と分析する。「大人になると、かわいいものを買ったり持ったりするのは抵抗があるけれども、プニラボなら、大人でもあまり違和感なく持てて、子供とおそろいだったりすると、自分に対する言い訳も立つ」(陣内氏)というわけだ。

スタンドペンケースのヒットを受け、プニラボは徐々に商品ラインアップを拡大。現在では、各種のポーチやケース、マグネットから湯たんぽまで18アイテムを数える。「癒やされる動物たちを連れておでかけ」をコンセプトとする文具の一大ブランドに成長した。

イベント向けに、巨大スタンドペンケースや抱きぐるみを製作。来場者が写真を撮ってSNSに投稿してくれることを狙う。巨大ペンケースは1体しかなく、巡回スケジュールがぎっしり。中に入っているのが、リヒトラブ販売計画部課長補佐の陣内宏美氏

(ライター 笹田克彦)

[日経クロストレンド 2019年4月25日の記事を再構成]

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