株安下の決算発表、想定ほど悪くはない(苦瓜達郎)三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー

期の後半から中国を中心に世界景気が急減速したため、その影響を計りかねていたのです。しかし、この原稿を書いている10日時点では、18年度実績・19年度予想ともに「思ったよりは悪くない」という印象です。

実績に関しては、1~3月期に急失速する企業が続出するかと心配していましたが、想定外に悪化している企業の数は多くありません。予想の方は、今のところ「増減益半ば」という感じで、市場予想の平均であるアナリストコンセンサスは下回っています。しかし、そもそもコンセンサス自体、どうしたって企業の業績の実態と株価のいずれに対しても遅行性があります。私には全く失望感はありません。とはいえ、今後の取材で各社の景気前提が甘過ぎないかチェックする必要はあります。

■多い増配発表企業

業種的には、建設関係で好決算が目立つように感じます。人件費や資材価格の上昇以上に受注条件が改善していたということでしょう。19年度に関しても、五輪特需の仕上げと東京での大型オフィスビル大量供給が重なっており、さらなる好決算が期待できます。もっとも、業績はそこでいったんピークとなる公算が大きいので、株価的にどこまで評価してよいかは難しいところです。

また、業績予想が強くないにもかかわらず、期初から増配予定を発表する企業が多い印象もあります。日本企業の大部分は事業リスク・成長性がいずれも低い割に自己資本比率が高く、これ以上内部留保を行う意味が乏しいという考えが広がっています。評価すべき動きと言えます。

足元の株価下落局面でも、増配企業に関しては、市場もそれなりにプラスに評価しているように見受けられます。今の株式市場の評価ポイントが若干、株主還元に偏り過ぎていると思わないでもありませんが、こうした動きを経て日本企業の財務効率化が進むことは、投資家にとっても社会全体にとっても望ましいことです。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
苦瓜達郎
三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー。1968年生まれ。東京大学経済学部卒業後、91年大和総研入社。アナリストとして窯業やサービス業の担当を経て中小型株を担当。2002年に当時の大和住銀投信投資顧問入社。中小型株ファンドの運用に携わる。
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