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大畑大介さん どんなストレスも軽くなる足し算思考 元ラグビー日本代表 大畑大介さんに聞く(中)

日経Gooday

2019/5/27

加点法の考え方になってストレスがたまらなくなったと話す大畑大介さん(写真 厚地健太郎)
日経Gooday(グッデイ)

2019年9月20日から、ラグビーワールドカップ2019日本大会が始まる。そのアンバサダーを務める大畑大介さんは現役時代、度重なるケガに見舞われても決して心折れることなく、日本代表として第一線で活躍し、日本ラグビー界を支えてきた。そこには、大畑さんのメンタルを支えた独自の思考法があった。

◇  ◇  ◇

――インタビューの1回目「大畑大介さん 縮こまった心変えた平尾誠二さんの言葉」では、「メンタルを鍛えるための思考法」について、もともとメンタルが弱かったという大畑さんの実体験を伺いました。ラグビー日本代表になった後も海外でプレーするようになった時も、両肩を痛めたり、両足のアキレス腱を断裂したりと大きなケガに見舞われ、思い通りの結果が出ないことが多かったと思います。日本代表というプレッシャーがかかる中で、立ちはだかる壁にどのような思考で乗り越えたのでしょうか。

大畑:自分の人生を長期スパンで見直した時に、プレーヤーでいられる時間は限られていると思いました。そんな限られた時間の中で、例えばケガをして治療や手術に迷った時に、チャレンジして後悔するのはいいけど、チャレンジせずに後悔するのは時間がもったいないと思ったんです。だったら、今、自分でできることをすべてやってしまおうと思いました。

治療やリハビリでトレーニングができないといったつらい状態も、復活のために必要なチャレンジです。そうしたチャレンジができるのは、自分の中にエネルギーがあるからこそじゃないですか。うじうじ考える前に一歩踏み出して、「まだ頑張れる」と自分にエネルギーがあることを再認識できれば、前向きになれる。だから、絶望的なことが起こっても、無理矢理にでも一歩踏み出そうとしていました。そのためにも、「ケガをした自分も自分なんだ」と、その状況を受け入れるようにしていましたね。

ただ、ラグビーというスポーツだから、そんな考えが通じたかもしれません。100mを10秒で走っていた陸上短距離選手が、ケガで15秒でしか走れなくなったとしたら、それはすごく落ち込むと思います。その点、ラグビーは、そうした競技に比べ、いろんなプレーや技術で、ケガしたなりにチーム内の役割を果たせるように思います。

■減点法から加点法に変えてストレスを和らげる

――繰り返しケガをするうちに、一歩踏み出そうと思うエネルギーも次第に消耗してくるのではと思います。それでも諦めずにチャレンジし続けるには、どんなふうに考えればよいのでしょうか。

大畑:諦めないという意味では、ケガに免疫がついたことが大きいかもしれません(苦笑)。

人間ですから調子が良い悪いは必ずあります。例えば、調子が良い時の自分の評価の定数を、まだまだこれから上昇できると見込んで0と考えるとします。となると、調子が悪い時は当然マイナスになるでしょう。ケガをした時が-100だとしたら、リハビリして治ってきたら-20ぐらいに上昇する。でもまたケガが悪化したら-80ぐらいになる。結局、-100も-20も-5も、マイナスであることは変わらず、0やプラスにならない限り、しんどい時間が続いてストレスがかかりっぱなしなんです。

「ケガをした時を0と考えれば、あとは回復するにつれてどんどんプラスになるだけ」

だから僕は、最初の設定の数を変えることにしました。絶不調になった時、ケガして動けなくなった瞬間を0にしようと考えたんです。そう考えるとあとは、「今日は歩けた=+10」「ジョギングができるようになった=+30」というようにプラスになり、悪化しても0に戻るだけです。要は、自分の状態を、減点法から加点法に変えたんです。

マイナスという概念があるから、調子が悪くなった時に神経質になって、「今日はこれができなかった」「こんなこともできなかった」と考えがちになります。それは間違いなく、心にも体にも良くないストレスになります。

でも、加点法で考えると、「なぜこれができたのかな」と振り返りやすくなります。「あの時、こんな風に取り組んであそこまでたどり着けた」「一気にできたわけではなく、一歩一歩進んできた。じゃあ、今度も同じような方法で進んでみたらどうだろう」といった前向きな思考になりやすくもなる。そんな振り返り作業は、成長するためや、壁を乗り越えるために大事だし、プラスで考えたことのほうが記憶としても残りやすいように思います。

――記憶に残ることのメリットは何でしょう?

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