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大畑大介さん どんなストレスも軽くなる足し算思考

元ラグビー日本代表 大畑大介さんに聞く(中)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

2019年9月20日から、ラグビーワールドカップ2019日本大会が始まる。そのアンバサダーを務める大畑大介さんは現役時代、度重なるケガに見舞われても決して心折れることなく、日本代表として第一線で活躍し、日本ラグビー界を支えてきた。そこには、大畑さんのメンタルを支えた独自の思考法があった。

◇  ◇  ◇

――インタビューの1回目「大畑大介さん 縮こまった心変えた平尾誠二さんの言葉」では、「メンタルを鍛えるための思考法」について、もともとメンタルが弱かったという大畑さんの実体験を伺いました。ラグビー日本代表になった後も海外でプレーするようになった時も、両肩を痛めたり、両足のアキレス腱を断裂したりと大きなケガに見舞われ、思い通りの結果が出ないことが多かったと思います。日本代表というプレッシャーがかかる中で、立ちはだかる壁にどのような思考で乗り越えたのでしょうか。

大畑:自分の人生を長期スパンで見直した時に、プレーヤーでいられる時間は限られていると思いました。そんな限られた時間の中で、例えばケガをして治療や手術に迷った時に、チャレンジして後悔するのはいいけど、チャレンジせずに後悔するのは時間がもったいないと思ったんです。だったら、今、自分でできることをすべてやってしまおうと思いました。

治療やリハビリでトレーニングができないといったつらい状態も、復活のために必要なチャレンジです。そうしたチャレンジができるのは、自分の中にエネルギーがあるからこそじゃないですか。うじうじ考える前に一歩踏み出して、「まだ頑張れる」と自分にエネルギーがあることを再認識できれば、前向きになれる。だから、絶望的なことが起こっても、無理矢理にでも一歩踏み出そうとしていました。そのためにも、「ケガをした自分も自分なんだ」と、その状況を受け入れるようにしていましたね。

ただ、ラグビーというスポーツだから、そんな考えが通じたかもしれません。100mを10秒で走っていた陸上短距離選手が、ケガで15秒でしか走れなくなったとしたら、それはすごく落ち込むと思います。その点、ラグビーは、そうした競技に比べ、いろんなプレーや技術で、ケガしたなりにチーム内の役割を果たせるように思います。

減点法から加点法に変えてストレスを和らげる

――繰り返しケガをするうちに、一歩踏み出そうと思うエネルギーも次第に消耗してくるのではと思います。それでも諦めずにチャレンジし続けるには、どんなふうに考えればよいのでしょうか。

大畑:諦めないという意味では、ケガに免疫がついたことが大きいかもしれません(苦笑)。

人間ですから調子が良い悪いは必ずあります。例えば、調子が良い時の自分の評価の定数を、まだまだこれから上昇できると見込んで0と考えるとします。となると、調子が悪い時は当然マイナスになるでしょう。ケガをした時が-100だとしたら、リハビリして治ってきたら-20ぐらいに上昇する。でもまたケガが悪化したら-80ぐらいになる。結局、-100も-20も-5も、マイナスであることは変わらず、0やプラスにならない限り、しんどい時間が続いてストレスがかかりっぱなしなんです。

だから僕は、最初の設定の数を変えることにしました。絶不調になった時、ケガして動けなくなった瞬間を0にしようと考えたんです。そう考えるとあとは、「今日は歩けた=+10」「ジョギングができるようになった=+30」というようにプラスになり、悪化しても0に戻るだけです。要は、自分の状態を、減点法から加点法に変えたんです。

マイナスという概念があるから、調子が悪くなった時に神経質になって、「今日はこれができなかった」「こんなこともできなかった」と考えがちになります。それは間違いなく、心にも体にも良くないストレスになります。

でも、加点法で考えると、「なぜこれができたのかな」と振り返りやすくなります。「あの時、こんな風に取り組んであそこまでたどり着けた」「一気にできたわけではなく、一歩一歩進んできた。じゃあ、今度も同じような方法で進んでみたらどうだろう」といった前向きな思考になりやすくもなる。そんな振り返り作業は、成長するためや、壁を乗り越えるために大事だし、プラスで考えたことのほうが記憶としても残りやすいように思います。

――記憶に残ることのメリットは何でしょう?

大畑:結局、ケガや絶不調に陥って結果が出せない状態を乗り越えるために、経験値に勝るものはありません。自分の頭の引き出しの中にどれだけ経験値が詰まっているかで、乗り越えられるかどうかが変わる。だから、治療やリハビリといった加点のための方法は自分の財産であり、その財産をつくれば、どんなことも乗り越えられるように思うんですよね。

それは、例えて言うなら困っているのび太くんを助けてくれるドラえもんの四次元ポケットのようなもので、そんな四次元ポケットを、自分がいろんな経験をすることでつくればいいと思うのです。リハビリが成功しても失敗しても経験になる。振り返って成功した要因や失敗した原因をイメージできるようになれば、それは壁を乗り越えるための立派な武器になります。

赤ちゃんから学んだ人間関係のイライラをなくす方法

――ケガした瞬間をマイナスではなく、「0」と考えるというのは目から鱗です。

大畑:マイナスと捉えてしまうのは、人と自分を比べるような他己評価をしているからです。人と比べると、自分が絶不調になった時にどんどん引き離されているような感覚になる。でも自己評価で考えられれば、絶不調の時を0と考えられるのではないでしょうか。

これはスポーツだけの話ではなく、仕事の結果が出ない時もそんな風に考えればいいと思います。運やタイミングも結果に関わりますから、努力しても報われないことは多い。でも、その努力を報われないままで終わらせないためには、経験を次につながる財産になるように、きちんと分析する習慣をつけることが大事です。

ちなみに、加点法の考え方は、人付き合いというか、人に対する評価にも当てはまります。僕自身、現役時代は、自分の実力で日本代表を含めたポジションを手に入れて、評価を得てきたという自負がありました。その考えがベースにあるので、若い後輩選手やうまくプレーできない選手に対して、「なんでこんなこともできないのか」と、上から視点で指摘していました。

要は優越感に浸りたいだけですが、自分を0という基準にして、自分と同じことができない選手はすべてマイナスという減点法で判断してしまう。そうすると僕自身もイライラして、そんなイライラした雰囲気や物言いが相手にも伝わるし、一生懸命プレーしている相手も、そんな上から目線で注意されたらいい気はしないですよね。

――そんな自分に気づいたきっかけは何ですか?

大畑:考え方が劇的に変わったのが、子供が生まれた時でした。赤ちゃんは何もできないところから、寝返りやハイハイ、二本足で歩いていく。何もできないところを0だとしたら、あとはプラスばかりです。それに、「寝返りできてすごいなぁ」と褒めれば、嬉しがってどんどん寝返りしていく。褒めれば人はこんなに成長していくんだと自分の子供から学べたと同時に、「自分は今まで他人を減点法で見ていて、粗探しばかりしていた」と気づきました。

加点法で人と接するようになってから、イライラすることもなくなり人付き合いがすごく楽になりました。人のいいところを見ようと意識するから、良好な人間関係を築けるようになったと思います。

どんなに実力や競技レベルが高くなったとしても、人間としての地位なんて変わりません。人を見下すことで、自分は偉くなったと勘違いしているだけ。そんな人間はそれ以上成長することはできないし、誰もついてこない。誰かを成長させたい、高めたいと思ったら、自分の人間性も高めて成長しなければいけないんだと感じました。

(ライター 高島三幸、カメラマン 厚地健太郎)

大畑大介さん
1975年大阪生まれ。京都産業大学時代に日本代表として活躍、98年に神戸製鋼入社。2001年にはオーストラリアのノーザンサバーブ・クラブでプレーし、03年にはフランス・モンフェランに入団を果たす。03~04年シーズンからは神戸製鋼コベルコスティーラーズにプロ契約。その後日本代表キャプテンを務めるなどラグビー日本代表を牽引し、ワールドカップに2度(99年、03年)の出場を果たす。ラグビーワールドカップ 2019日本大会アンバサダーを務める 。所属事務所:ディンゴhttp://dingo.jpn.com/

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