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言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使いを解説します。今回は「陰」について表現するときの注意点を見ていきます。

◇  ◇  ◇

勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。

よく晴れた初夏のある日。ヒロシとナンシーは、会社の昼休みに連れ立ってランチに出かけ、よさそうな店を見つけました。日差しが強いときでしたので、その店が木陰にあったのもグッドポイント。それを伝えようと、ヒロシは「ちょっと日陰になっているね」と言ったつもりだったのですが、ナンシーは「ええっ、本当なの?」と驚いた様子。どうやらヒロシの使った表現に誤解を招くところがあったようです。

それは、こんな会話でした。

Hiroshi: Let's have lunch at that cafe.
Nancy: Okay, it looks like a nice place.
Hiroshi: It's a little shady.
Nancy: Oh, really? But it looks nice!
Hiroshi: Huh?

図らずもヒロシはこう言ったことになります。

ヒロシ:そこのカフェでランチにしようか。
ナンシー:いいわよ。よさそうなお店ね。
ヒロシ:ちょっと怪しい店なんだ。
ナンシー:ええっ、本当なの? でも、悪くなさそうなのに!
ヒロシ:ん?

日陰になっていることを示そうとして使った単語shadyは、名詞shade(陰)から派生した形容詞で、「陰になった」の意味を持ちます。たとえばa shady garden under treesなら「木陰になった庭」です。shadyという言葉を選んだこと自体は問題なかったかもしれませんが、この形容詞は何を主語とするかで、まったく違う意味を持つことがあります。

ヒロシは、ナンシーが言ったIt looks like a nice place.の「place」を受けて、その「場所」についてshadyだと語ったつもりでした。ところが、placeという語には「飲食店」の意味もあり、ナンシーは「よさそうな所」ではなく「よさそうな店」と言っていたのです。そのため、ヒロシがIt's a little shady.と言ったとき、主語のItは「場所」ではなく「お店」を指していると受け取られました。

実はshadyは、「店」あるいは「人物」「行為」について用いられると、比喩として「陰がある」というニュアンス、すなわち「怪しい」「いかがわしい」といった意味になるのです。shady dealsなら「怪しい取引」です。そのため、ヒロシは期せずして「その店はちょっといかがわしい」と言ってしまったわけです。

では、どう言えばよかったのでしょうか。

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