U22

学生起業のリアル

ヒッチハイクみたいに声かけた 学生起業家の仲間集め 地方で起業するという選択肢(2)

地方創生会議ファウンダー 小幡和輝

2019/6/12

小幡和輝です。前回の記事では僕の体験談をもとに、地方で学生起業するという選択肢について書きました。今回からは実際のロールモデルを紹介していきます。チャレンジしている姿から起業をもっと身近に感じてもらえたらと思っています。

今回のテーマは「仲間集め」。1人ではできないことでも、仲間と一緒ならチャレンジできる。しかし、創業当時は人を雇う十分なお金がありません。仲間が必要なときはどうやって集めればいいのでしょうか

お話を聞いたのは、株式会社Ktion代表取締役で、鹿児島大学農学部に在籍中の高本梨花さんです。高本さんは高校時代に地域活動をはじめ、地域に受け継がれる思いや文化の継承に興味を持ったといいます。Ktionを起業し、観光地を巡る観光ではなく、地域住民とリアルな交流体験を提供しています。

――地域の住民に会いに行けるWEBサービスを開発中とのことですが、具体的にどのようなサービスになりますか?

地方を旅した時に、自分の会ってみたい面白そうな住民をマップ上で選び気軽に会いに行けるサービスです。地域住民は、自分のオリジナルの体験を提供します。副業のようなものですかね。登録掲載料等はかかりません。サイト内で予約から決済まで完結し、安心して楽しく地域の人と交流でき、また会いに行きたくなる世界観を作っています。

――素敵なサービスだと思います。高本さんはプログラミングができるんですか?

まったくできないです(笑)もともとサービスのアイデアはあって、地域に遊びに来てくれた人を案内する活動をやっていたのですが、自分だけでは広がらないし、持続可能ではないので、他の人でも誰でもできる形にしたいと思い立ちました。そのためにはシステムでマッチングすることが絶対に必要なんですね。今は大学で繋がった友人たちに手伝ってもらいながらサービスを開発しています。

――最初はどうやって仲間をつくりましたか?

大学の工学部の前で、ノートに書いて通る人全員に声をかけていきました。ヒッチハイクみたいな感じですね。

そこで知り合った人が、ちょうど学内でアプリ開発サークルというのを立ち上げたんです。最終的にはそこでプレゼンしたら仲間が集まってきてくれました。本当にありがたいし、みんなめちゃくちゃ優秀なんですよね。一部のメンバーはもう卒業していて、休みの日に手伝ってくれてるんですが、東京の有名企業にエンジニアで就職したりしてて(笑)。

私はプログラミングができないけれど、熱意があってそれが伝われば仲間は集まってくると思います。

―― 地方だと学生起業も当たり前ではないし、ベンチャー志向の若者が少ないように感じますが、そのあたりの不安はなかったですか?

確かにそれはあると思います。熊本で起業してる同世代っていないですし、ベンチャーに興味がある人は少ないと思います。ただ、それは逆にライバルが少ないとも言えるんじゃないかなと。ネットが広まって情報は入ってくるので、興味があるけど環境がないっていう人は多いと思いますよ。

――なるほど。では東京進出はあまり考えてないということでしょうか?

このサービス自体、東京の企業ではなくて地方の会社がやってることに意味があるものだと思ってます。私も2年後に大学卒業予定ですが、拠点を東京に移すつもりはないですね。地方でやる強みを大事にしていきたいです。

■インタビューを終えて

起業しても、創業期は十分なお金を払うことができない。その中で仲間を集めることは簡単ではない。しかし、それが起業家の仕事だとも思う。特に高本さんのような、自分のスキルだけではできないものを作るのであればなおさらだ。この人と一緒に働きたい。このサービスが完成したらワクワクすると思えるものを作れるようにするといいのではないか。

地方でチャレンジすればすぐに目立つ。確かに仲間が見つかりにくいし、環境的には厳しい。しかし、逆にライバルが少なく目立ちやすいというメリットもあるのだ。僕も地元のメディアのみなさんは本当に良くしてもらっており、定期的に取り上げていただいている。地域に特化して考えれば地元メディアの影響力はまだまだ強いので、かなりの影響力がある。

それもあってありがたいことに僕の和歌山県における知名度はかなり高く、歩いているとたまに声をかけてもらえる。地方でチャレンジすることの困難さはあるが、いざスタートしてみると、たとえ数は少なくても共感してくれた人が集まってきやすい。一人一人との縁を大切にしよう。地方という環境をハードルに感じるか、メリットと感じるかはあなた次第だ。

小幡和輝(おばた・かずき)氏
1994年、和歌山県生まれ。約10年間の不登校を経験、その後高校3年生で起業。47都道府県すべてから参加者が集う、「地方創生会議in高野山」を主催。1億円規模の地方創生ファンドを設立し、地方でチャレンジする人を応援している。最年少で内閣府より地域活性化伝道師の認定を受けるなど、活動は多岐にわたる。

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