「非凡な努力」を評価 労組での10年が自分育てたアサヒグループホールディングス 小路明善社長兼CEO(上)

アサヒグループホールディングスの小路明善社長兼CEO
アサヒグループホールディングスの小路明善社長兼CEO

総額1兆2000億円に上る欧州ビール事業の買収で、一気にグローバル企業への足がかりをつかんだアサヒグループホールディングス(GHD)。その拡大戦略の指揮を執ってきたのが社長兼最高経営責任者(CEO)の小路明善氏(67)だ。社内では営業はもちろん、人事や財務、広報や経営企画など幅広い分野を経験してきたが、自らの原点は10年に及んだ労働組合の専従にあると話す。

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――グループ連結で2万8000人の従業員に向けて、リーダーとしてメッセージとして特に伝えたいと考えていることは何ですか。

「よく言っているのは『非凡な努力を評価します』ということです。成果とは才能と非凡な努力を掛け算したものです。例えば、『読む』『書く』『話す』という能力がそれぞれ『10』あったとしましょう。努力が『1』しかなければ、掛け合わせてもそれぞれ『10』、合計で成果は『30』となります。一方で能力が『5』であっても、努力が『10』だとしたら5×10で『50』、さらに×3で『150』になるのです。会社は非凡な努力をする人材の集団であり、そうした人たちを採用して仲間に加えていくことで成り立っています。ですから、社員には『常に非凡な努力をしてください』と話しているのです」

――「非凡な努力」とはどのようなことですか。

「私が新入社員だったときに営業の先輩から教わったことです。はじめは先輩について都内の居酒屋を回っていたのですが、しばらくすると『1人で回れ』と言われました。『1日20軒、とにかく自分で考えて回れ』と。毎日20軒回るのは大変なことです。これを10年間続けたら一流の営業担当者になれますよ。こうしたことが非凡な努力なのです」

「もうひとつ言っているのが(野球で)『空振り三振を評価せよ、ただし見逃し三振は評価しない』ということです。野球をやられる方ならおわかりになると思いますが、バットを振るとボールとの間合いがわかるのです。これを繰り返すことで、頭で考えずとも自然とバットにボールが当たるようになります。ビジネスもそうです。直感力を磨くことが大切です」

リーダーに大切なのは立ち止まらないこと

「私は労働組合の専従を10年務めました。それだけに、社員は会社にとって命で、(人件費)経費ではなくて投資だと思っています。社員の成長が会社の成長になるのです。非凡な努力を重ねる人材と共に会社を成長させていきたいと常日ごろ考えています」

――リーダーとしてどのようなことを心がけていますか。

「前進と納得でしょうか。リーダーとしては大切なのは立ち止まらないことです。さらに納得できないことがあれば、どうすれば課題を解決できるかを追求し続けます」

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