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拙速な謝罪で相手の怒りが増すこともある。写真はイメージ=PIXTA

拙速な謝罪で相手の怒りが増すこともある。写真はイメージ=PIXTA

トラブルや失敗に伴う謝罪はビジネスシーンでは避けて通りにくい。上手に謝らないと、さらに事態を悪化させかねないから、大事なビジネススキルでもある。吉本興業で広報やコンプライアンスを担当した「謝罪マスター」で、『謝罪力』(日経BP)を書いた竹中功氏は「謝り方にも技があり、スキルアップが可能」という。マニュアル通りに終わらない、謝罪の心得とテクニックを教わった。

謝罪の行為自体はゴールではない

企業が不祥事を謝罪する記者会見は、もはや見慣れた光景となった。おわびの言葉と同時に3人程度の経営幹部が深々と頭を下げるのも、「お約束」と映る。しかし、ポーズだけ見せても、相手が納得するとは限らない。「むしろ『形式的に過ぎて誠意が感じられない』と、新たな怒りを買ってしまうリスクすらはらむ」と、竹中氏は「形だけ」の謝罪を勧めない。いきなりの土下座といった、お涙頂戴式のスタンドプレーも効果は薄いという。そもそも謝罪の目的は「ポーズ」ではなく、謝罪の行為自体はゴールでもないというのが竹中氏の考えだ。では、どう謝ればよいのだろう。

謝罪は早いに越したことはないと思われがちだ。でも、竹中氏はあえて拙速を戒める。状況がきちんとつかめていない状況での「単なる謝罪」は効果が薄いからだ。竹中氏が考える謝罪の望ましい成り行きとは、「『イカリ=怒り』を『リカイ=理解』に変え、トラブル発生前よりも良い関係を築く」というものだ。そこまでは無理でも、せめて発生前に戻す。その場を取り繕うとか、嵐をやり過ごすといった目先のメリットだけを追ってはいない。

こうした理想的な展開を呼び込むためには、「6W1H」が必要だという。一般的な「5W1H」より1個多い「W」は「Whom」だ。つまり「誰に向かって謝るのか」が重要になる。「謝罪会見ではやみくもに『世の中一般』に向けて謝っているケースがある。誰に向けられたおわびなのかをはっきりさせないと、問題解決につながりにくい」(竹中氏)。だから、怒りの主を特定して怒りの原因を突き止めることが欠かせない。拙速を避けて、事実関係を確認するまでは謝りようがないのだ。

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