毒舌トリオの『ザワつく!金曜日』 時事ネタ斬り爽快
「パワハラを考える」や「24時間営業を考える」など、心がザワつく話題について石原良純、長嶋一茂、高嶋ちさ子が自由にトークをする。テレビ朝日の『ザワつく!金曜日』は、2017年の特番『日本ソダテル検定』がきっかけとなって誕生した。ゲストの中でもこの3人の絡みが突出して面白く、そこにプロデューサーが目を付けて企画が立ち上がったという。
演出の植田弘樹氏は、「企画書を見たときに、"混ぜるな危険"という言葉が頭に浮かびました(笑)」と振り返る。昨年5月に土曜の昼で最初の特番になり、2回目の7月にはゴールデンタイム(19~22時)で放送、視聴率15.0%を獲得した。その流れで10月から水曜の深夜でレギュラーがスタートし、今年4月からは金曜のゴールデンタイムでの放送となる。
1番の魅力は3人の言いたい放題のトークだ。制作側は、それを最大限に生かせるようにと気配りする。まずは3人のファーストリアクションを大事にすること。そのため、打ち合わせはほとんどしていない。「今でこそお題の項目だけはお見せしますが、当初は本当に挨拶しかしていなくて。発言内容など全部お任せしているので、毎回少しヒヤヒヤしながらも、そこがこの番組のキモだと思って収録しています」(植田氏、以下同)という。
例えば「舞妓(まいこ)パパラッチ」というテーマでは、外国人観光客に四六時中追い回されて困っている舞妓の姿を見て、ちさ子さんが「舞妓さんがキレればいい」と言い放つなど、彼らの自由な発言には爽快感がある。テーマは、微妙な是非が問われていろいろな見解が出そうなものをと、ディレクターや放送作家らスタッフが持ち寄って決めているという。「どんなお題でも何倍にもして返してくれますし、3人の意見には『よくぞ言ってくれた』という気持ち良さがあります」とのことだ。
ともすると炎上しそうなギリギリの発言や、スタッフの段取りの悪さにツッコミを入れる姿など編集でカットしがちなところも放送して、臨場感やライブ感を大切にしているとのこと。率直に思いの丈をぶつける3人のため、ケンカすれすれになることもある。そんな時は、進行役の高橋茂雄(サバンナ)が腕を発揮する。「最終的にはうまく笑いにしてくれます。スタート当初は、場を取り繕いながらタジタジになる高橋さんが面白いと思っていたんです。でも今では4兄弟という感じ。3人に対して最近では『うるせー!』とか遠慮なく言ってます(笑)」
3人のモノマネができる神奈月をスパイス的に投入したり、良純と顔が似ているという理由で登山家の野口健をゲストに呼んだり、情報番組『モーニングショー』の玉川徹が解説をするコーナーをまねした一茂の企画を始めたりと、様々なトライアルをしている。小休止できるように、肉料理やスイーツなどを「本日のお楽しみ」として用意しているのも独特だ。
華麗な家庭で育った3人ならではの、子どもの頃のエピソードトークも見どころの1つ。それでいて、考え方や意見そのものは一般の目線に近い。ゴールデンタイムに枠移動しても、内容は変えずに番組を作っていく方針だ。「段取りがないことを強みにして、バラエティーとワイドショーのいいところを生かしたような、独自のトーク番組を目指します」という。
(日経エンタテインメント!5月号の記事を再構成 文/内藤悦子)
[日経MJ2019年5月10日付]
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