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ビジネス書・今週の平台

父から娘へ 元USJマーケター森岡氏が語るキャリア論 紀伊国屋書店大手町ビル店

2019/5/10

通路に特設した平台に目立つディスプレーで展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。10連休明けのオフィス街の書店はいつもより静かな趣だった。それでも金融関連書を中心にビジネス書の売れ行きは好調だという。そんな中、書店員が注目するのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)をV字回復に導いたマーケターによる自分の娘に向けて書いたキャリア論だった。

■キャリア考えるためのフレームワーク示す

その本は森岡毅『苦しかったときの話をしようか』(ダイヤモンド社)。著者の森岡氏は高等数学を用いた独自の戦略理論でUSJを復活に導き、その手腕が注目された戦略家・マーケターだ。2017年にUSJを退社し、マーケティング集団「刀」を起業、様々なマーケティングプロジェクトを手がけている。その森岡氏がこれから就職活動を迎える娘に向けて、自分の将来や仕事のことを考える際の「考え方(フレームワーク)」を書き留めたのが本書だ。ビジネスマンとしての自身の苛烈な体験と、娘への愛情がより合わさることで、若い人、さらにはキャリアに悩める多くの人の心に刺さるキャリア論になっている。

やりたいことが明確な自信満々な人に向けた本ではない。なにしろ第1章が「やりたいことがわからなくて悩む君へ」だ。そうしたキャリアや将来にもわっとした不安を感じているけれど、どうしていいかわからない人に向けて、ガイドロープを差し出すように書かれている。その愛情たっぷりな書きぶりにまず引き込まれる。

■自分自身を知ることが大事

続いてこの世界の本質について語り、自分自身を知ること、セルフアウェアネスが何より大事だと語る。そしてどうやって自分を知ればいいのか、そして知った自分をどうブランディングするかを、スキルレベルに落とし込んで語っていく。その過程ではマーケターとしての知見が存分に活用され、すぐ生かせそうなフレームワークや手法が披露される。就活中で思い悩んでいる学生なら試してみるとよさそうだ。

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