50分働けば1食無料 家出少女が行き着いた未来の食堂東京・神保町「未来食堂」店主 小林せかいさん

「まかない」や「ただめし」などユニークですが、事業として成り立ちますか?

おかげさまで、開業以来、黒字が続いています。従業員は雇わなくても、みんなの「働きたい」という気持ちに助けられながらやってこられました。まじめにやって、来てくださったお客様が「よかった」と思えるようなお店にできれば、そんなに心配することはないんじゃないでしょうか。

ただ、「まじめにやれば大丈夫」と言いましたが、これは起業するうえでは注意すべきポイントでもあります。最初から完璧を目指して何でも自分でやろうとすると、続けていくのは難しくなるから。

すでにここで修業してお店を出した人が10人ぐらいいますが、まじめさから、すべて自分ががんばらなきゃいけないと思い込んでいる人もいました。昼も夜も営業して、掃除を終えるといつも終電。でも、それでは続かないですよね。お客さんも、その実態を聞いたら悲しくなると思います。

そもそも、自分の好きなお店が続くことがお客様にとってもいいことのはず。サービスの相手がどう考えるか、ちょっと立ち止まって想像してみるといいと思います。そして、その仕事は本当に自分がやる必要があるのか、例えば掃除なんかは誰かほかの人に任せた方がいいのではないのか、考えた方がいいでしょう。

これはその仕事が好きで、エネルギーのある人の方が陥りやすい間違いです。やりたいことと自分の間の距離が近すぎて「こうやったらもっと楽できる」というふうに考えられないんです。

これから社会に出る若者たちにメッセージをお願いします

「欠点こそ強みになりうる」と小林さん

自らがそうだったから特に思うのですが、ゆがみや欠けている部分があるということは、一回り大きくなれるチャンスがあるということです。私自身、子どものころからひどい偏食で、一時期は朝はざるそば、夜はシリアルを食べるという生活を続けていました。でも、食べ物に強いこだわりがない分、どんな人の好みも受け入れるお店を作れたと思います。

「周りがこうしているから自分もこうしなきゃ」と思って小さく小さく調整するよりも、自分の世界を持ち続けた方がいい。誰かを傷つけるということがなければ、他の人からみた「普通」に合わせようとしなくていいと思っています。

必要なのは、自分が「普通」からどのくらいずれているかをきちんと認識するということです。例えば「並外れて敏感で落ち込みやすい」としても、そのことを自覚して行動できれば大きな問題にはならない。無理に変えようとするより、バランスをとってずれと付き合っていく方が大事です。他の人と違うことをするときは不安になりがちですが、違いは強みにもなるということを知ってほしいですね。

(ライター 高橋恵里)

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