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自治体「幸福度」の不都合な真実 実感と不一致はなぜ

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NIKKEI STYLE

先の統一地方選では、住民の「幸福度」の向上を訴える候補者があちこちで見られました。都道府県別の幸福度ランキングは注目され、独自に幸福度調査をする自治体もあります。ただ幸福度を行政にどう活用するかは、試行錯誤が続いています。

幸福度の測り方には主に2つの方法があります。1つは「1人当たりの居住面積」「1人当たりの医師数」など幸せに関係がありそうな指標を集めて合成する手法で、客観的な指標と呼ばれます。国連が毎年3月に発表する国別の幸福度ランキングや、日本総合研究所が公表する都道府県別の幸福度ランキングはこの手法です。

その都道府県別の幸福度では、福井県が3回続けて1位になりました。ただ先の福井県知事選では「幸福度日本一の実感がない。それを実感できるようにする」と訴えた新人が現職に勝ちました。各種のデータは福井県の暮らしの豊かさを浮かび上がらせますが、若者を中心に人口流出は拡大しています。客観的な指標で幸福度を測ることの限界と言えます。

幸福度を測るもう一つの手法が、幸せかどうかを住民に直接聞くやり方です。主観的な指標といえ、客観的な指標ではわかりにくい住民の幸せの実感をつかむことに役立ちます。

福岡県は毎年、県民意識調査で幸福の実感について「とても幸せ」が10点、「とても不幸」を0点とする10点満点で聞いています。平均点はここ5年間で最低6.46、最高6.67。人並みより幸せと感じている人が多いことをうかがわせます。

幸福度を重視する自治体には、客観的な指標のランキングを上げることや、主観的な幸福実感を最大化することを目標にするところもあります。ただランキングに使う客観的な指標を何にするかは調査によってまちまちで、基準とした指標が住民の幸福実感と一致するとはかぎりません。

主観的な幸福実感では、収入が増えて幸福だと感じても、しばらくするとさらに上を望むようになって幸福の基準が変わります。幸福実感を住民に聞く調査の多くで平均点が10点満点で6~7点に収まり、あまり動かないのはこのためと考えられています。ここからさらに引き上げるのは難しいのが実情です。

行政に幸福度をいち早く取り入れた東京都荒川区は、住民の幸せに足りないところは何かをチェックすることに重きを置いています。幸福度の研究に詳しい大正大学の小峰隆夫教授は「健康や安心安全など生活に身近な分野について、住民の不満を把握し、政策の改善につなげるのが幸福度の使い方として望ましい」と話しています。

小峰隆夫・大正大学教授「ランキング、生産的でない」

「幸福度」について研究している大正大学の小峰隆夫教授に、政策への幸福度の生かし方を聞きました。

――幸福度のランキング付けには批判的ですね。

「客観的な指標をもとにしたランキングでは、1992年から当時の経済企画庁が『新国民生活指標』(豊かさ指標)を作成し、都道府県別の順位を公表した。ただ1位福井県、最下位埼玉県という状況が続き、当時の土屋義彦・埼玉県知事が批判するなど反発も起きた。こうしたこともあって結局、都道府県ランキングの公表は取りやめとなった」

「ランキング付けには原理的な問題がある。1人当たりの指標にすると、人口が流出する地域は1人当たりの居住面積などが広くなり有利に働く。逆に人口増の地域は不利になる。しかし人口が増えるのは、そこに住みたい人が多いからだ。経済学で言う『足による投票』という考え方で、社会移動の出入りをみればその地域の魅力がわかる」

「福井県は確かに自然が豊かで、家は広い。きちんとした仕事があれば、福井県のような地域で暮らすのは幸せだ。しかし、しっかりした仕事がたくさんあるわけではないので、暮らしにくい人は出ていってしまう。人手不足で地方にも働く場はあるが、働く環境という面で考えると、東京の方が将来のキャリアアップや転職する場合の選択肢も多い。ランキングの順位がよいのは暮らしにくい人が出て行った後の数字だからで、ランキングを競うのはあまり生産的ではない」

――主観的な指標を政策に活用する自治体もあります。

「住民に幸せかどうか直接聞く手法で有名なのが東京都荒川区だ。荒川区は毎年、区民の意向を調査し、健康分野や安心安全分野などの幸福度をモニターしている。それをどの分野を改善したらよいかを判断する際の素材にしている。ただこれは身近な生活にかかわる政策を対象にすべきだ。地域産業で何を振興したらよいか、観光でどんなところに力を入れたらよいかなどは、アンケート調査しても意味はない。行政組織として戦略を立てて行く必要がある」

――国の政策に幸福度を生かす試みは踊り場にあるようです。

「国の幸福度研究は2009年の鳩山内閣で予算が付いてから進んだ。有識者で構成する研究会も設置した。幸福かどうかを聞き、その人の属性、所得や健康、人間関係などからどういう人が幸せと考えているかなどについて分析した。その結果、所得は高い方が幸せで、暮らし向きが楽だと考えている人が幸福度が高い。幸福度が決定的に落ちるのは仕事がなくなった人だ」

「(バブル経済が終わった後の)平成の時代は、所得が伸びない時代だった。今は人手不足なのに賃金が伸びない。やはり所得が伸びないと幸福になれないと思う傾向が強いのではないか」

(編集委員 斉藤徹弥)

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