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転ばぬ先の不動産学

築36年のアパートを満室に 空き家再生は工夫次第 不動産コンサルタント 田中歩

2019/5/15

また、ケースによりますが、相続の際、空き家のままより賃貸しているほうが節税できる場合があります。相続で承継した空き家でこの方法を採用できないか検討するにあたり、こうしたメリットが享受できるかどうかチェックする人もいます。

■賃借の需要が少ない地域が課題

都市部の空き家については、賃借の需要が一定程度ある可能性が高いため、投資のリターン次第で再生は可能と思われます。しかし、それ以外の地域は賃借の需要が少ない地域で、長期間利用されない空き家である可能性が高く、不動産流通市場で需要を掘り起こすことは極めて難しいと思います。

実際、都市部は賃貸住宅の空き家が多く、それ以外の地域は「その他の空き家」(長期間にわたって不在の住宅)が多いとされています。

こうした地域の空き家の活用は、全く新しい暮らし方を模索する人々、例えば「週末は田舎暮らし」といった2つの拠点で居住したいという希望者などがポイントになりそうです。こうした胎動が少しずつですが最近、見受けられますので注目したいところです。

■精神的な満足感も得られる

空き家は放置したままにすると、所有者に直接的影響がなかったとしても、地域の価値が下がる問題もはらんでいます。また、劣化が進むと、場合によっては行政から解体するよう命令されることもあり得ます。そのときの費用は所有者の負担ですし、住宅を解体すれば固定資産税や都市計画税が大きく上昇することにもなります。

空き家を喜んで使ってくれる人がいるならば、所有者にとって経済的だけでなく、その地域に貢献できているという精神的な満足感も得られます。「懐かしい実家が喜んでいるようだ」という人もいます。

もし空き家を持っているならば、空き家の問題について少し目を向け、活用してもらえる相手がいないか探してみてはいかがでしょうか。

田中歩
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。

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