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転ばぬ先の不動産学

築36年のアパートを満室に 空き家再生は工夫次第 不動産コンサルタント 田中歩

2019/5/15

よくあるケースは、都市部などにある古くなった空き家や空きアパートです。古くなると、お金をかけて手をいれないと貸せない状態になり、結局放置せざるを得なくなります。「今さら投資のリスクは負いたくない」という人も多く、空き家を活用する動機はなかなか働かないようです。

固定資産税と都市計画税を払ってしまえば、特に困ることもありません。そして空き家は放置され続けていくわけです。

■手を加えれば借り手が存在する立地

筆者は、一定の賃貸需要がある地域であれば、工夫次第で空き家の再生は可能だと考えています。実際に筆者が東京都練馬区で再生した空きアパートの例を簡単に説明します。

6年ほど前、当時築36年を経過していた木造アパートの2階部分の5室が空室となっていました。風呂なしで和式トイレという部屋だったので、このままでは借りてくれる人はほとんどいないだろうと思われました。しかし、少しお金をかけて手を加えれば借り手は存在する立地でした。

そこで筆者が内装工事を負担する代わりに、空室の5室を1室あたり月1万円で6年間だけ借り、筆者が一般のユーザーに転貸する方法を所有者に提案しました。所有者は投資のリスクを負担せずに、少ないながら空室のままにしていた部分から収入が得られます。借りる側の筆者は投資のリスクは負いますが、その地域の相場に基づく賃料で転貸することができれば工事代金を回収でき、さらに利益も得られます。

■返還後も使途の自由度高く

筆者と建物の所有者が結んだ賃貸借契約は定期借家契約といい、満期が到来したら建物の所有者が再契約を希望しない限り必ず返さなければならないルールになっています。

筆者が手掛けたケースだと、6年経ったら内装工事を施した状態のままで、しかも工事にかかった費用を請求することなく返します。入居者にとって貸主だった筆者の立場は建物の所有者がそのまま承継することになり、建物所有者の収入は大きくアップします。

実際、今年その6年が経過し、満室の状態で返すことができました。

なお、筆者と入居者が締結している賃貸借契約は2年間の定期借家契約としているので、建物の所有者にとって、賃貸での運用を継続するしない、更地にするしないなど、その後の運用の自由度が高くなるようにしてあります。現在は、これと同様の方法で空き家や空きアパートを再生する事業者が徐々に増えています。

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